講演情報
[P07-02]雑微動を用いた表面波トモグラフィーによる日本海周辺の3次元S波速度構造および鉛直異方性の推定
*手塚 登万1、吉澤 和範1,2、仲田 典弘3,4、西田 究5 (1. 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻、2. 北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、3. Energy Geosciences Division, Lawrence Berkeley National Laboratory, Berkeley, CA, USA、4. Department of Earth, Atmospheric and Planetary Sciences, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA, USA、5. 東京大学地震研究所)
日本海下の地震学的構造は,大陸縁辺部におけるプレート沈み込みとそれに伴う背弧拡大・沿海形成の過程を知る上で不可欠な情報である.近年,「日本海地震・津波調査プロジェクト」(東大地震研他)により,特に日本海東縁部の断層や地殻構造の詳細な調査も行われ,日本海盆の東部に設置された海底広帯域地震計を用いたレシーバー関数およびレイリー波・ラブ波の解析から,OBS直下の地殻〜上部マントルの1次元S波速度構造と鉛直異方性も推定されている(Ai et al., 2023, JGR).レイリー波とラブ波の同時解析によって得られる鉛直異方性(SH波とSV波速度の違い)は,結晶配向やクラックの存在,マントルの流動などを反映し,地球内部ダイナミクスの推定に有益である.しかし,観測点配置の制約から,レシーバー関数などローカルな観測情報に基づく手法だけでは,日本海全域の広域的な構造推定は難しい.観測点の少ない日本海の広域な構造推定には,観測点間の構造を推定できる表面波トモグラフィーが有効である(e.g., Yoshizawa et al., 2010 ; Zheng et al., 2011) .Yoshizawa et al. (2010) は,周期30 – 80秒のレイリー波とラブ波を解析し,日本列島および日本海下の上部マントルの3次元的な異方的S波速度構造を推定している.このように,日本海では,海底観測点直下のローカルな異方性構造や,上部マントルの広域な異方性構造は推定されている一方で,より浅部の地殻を中心とした広域な異方性構造は未だ明らかになっていない.
本研究では,まず,中国北東部に約2年間(2009-2011年)展開された臨時観測網 (NECESSArray: NorthEast China Extended Seismic Array)と,日本の広帯域地震観測網(F-net, 防災科研)を用いた,雑微動のCross Correlation Function (Nakata & Nishida, 2019)を用いて,日本海をまたぐ大量の観測点ペアに対して,FTAN (frequency-time analysis) を用いた位相速度解析を行った(e.g., Lin et al., 2008) .これら2点間の波線ごとの位相速度に対し,球面三角グリッド (Wang & Dahlen, 1995) による線形インバージョンにより,周期15 – 40 sでのレイリー波およびラブ波の2次元位相速度分布を推定した.さらに,各地点において,雑微動から推定した位相速度データ(周期15-40秒)とYoshizawa et al. (2010) の中〜長周期側の位相速度データ(周期30-80秒) を統合し,周期15 - 80s のレイリー波およびラブ波のローカル位相速度データから,各地点毎に線形化インバージョンを行い,SHおよびSV波の1次元速度構造推定 (Yoshizawa, 2014) を通じて,日本海〜日本列島の広域な3次元のS波速度構造および鉛直異方性を推定した.復元された3次元S波速度分布からは,深さ15kmの日本海盆において,海洋リソスフェアに対応する顕著な高速度異常が確認できる.また,異方性分布では,同じ深さ15kmにおいて,日本海盆下にSH<SVとなる鉛直異方性が見られる.これは,日本海盆の拡大に伴う鉛直流と関連している可能性がある.
本研究では,まず,中国北東部に約2年間(2009-2011年)展開された臨時観測網 (NECESSArray: NorthEast China Extended Seismic Array)と,日本の広帯域地震観測網(F-net, 防災科研)を用いた,雑微動のCross Correlation Function (Nakata & Nishida, 2019)を用いて,日本海をまたぐ大量の観測点ペアに対して,FTAN (frequency-time analysis) を用いた位相速度解析を行った(e.g., Lin et al., 2008) .これら2点間の波線ごとの位相速度に対し,球面三角グリッド (Wang & Dahlen, 1995) による線形インバージョンにより,周期15 – 40 sでのレイリー波およびラブ波の2次元位相速度分布を推定した.さらに,各地点において,雑微動から推定した位相速度データ(周期15-40秒)とYoshizawa et al. (2010) の中〜長周期側の位相速度データ(周期30-80秒) を統合し,周期15 - 80s のレイリー波およびラブ波のローカル位相速度データから,各地点毎に線形化インバージョンを行い,SHおよびSV波の1次元速度構造推定 (Yoshizawa, 2014) を通じて,日本海〜日本列島の広域な3次元のS波速度構造および鉛直異方性を推定した.復元された3次元S波速度分布からは,深さ15kmの日本海盆において,海洋リソスフェアに対応する顕著な高速度異常が確認できる.また,異方性分布では,同じ深さ15kmにおいて,日本海盆下にSH<SVとなる鉛直異方性が見られる.これは,日本海盆の拡大に伴う鉛直流と関連している可能性がある.
