講演情報

[P12-02]一軸圧縮条件下における人工水晶の圧電分極による電圧応答

*小川 和也1、川方 裕則1、佐脇 泰典1 (1. 立命館大学)
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地震発生のメカニズムを理解するため、これまで数多くの室内岩石破壊実験が行われ、その過程で岩石破壊に伴う電磁波の放出(例えば、Yoshida et al., 1997)や発光現象(例えば、Mitsui and Yanagidani, 2012)が観測されてきた。これらの現象の原因の一つとして、岩石中に含まれる石英が応力を受けた際に示す圧電効果が指摘されている。従来の研究の多くは、岩石試料中の不均質な石英粒子を対象とした観測や考察が中心であり、結晶レベルでの素過程を定量的に評価した実験例は限られている。

小川ら(2024)は、α-石英と同じ結晶構造を持つ単結晶の人工水晶試料を用い、荷重を与えた際の電圧測定を行った。しかし、分極が期待される対面を電極として閉回路を構成して電圧が連続計測されたため、分極によって発生する電荷は常時回路に漏れ出すこととなった。一軸圧縮試験機を利用してゆっくりと載荷し、やや高速(約50 ms程度)で除荷した際には、載荷時の電荷はすべて速やかに漏れ出してしまうこととなった。この試験の除荷時、ならびにインパクトハンマーで瞬時に載荷・除荷をおこなった際には、分極にともなう電圧変化が検出されたが、これらの信号には分極による成分と回路への電荷漏れによる成分が同時に含まれており、それぞれを分離して定量的に評価することは困難であった。そこで本研究では、電圧計測に非接触型電位測定器を用い、回路を閉じない形にすることで分極によって生じる電荷が漏れ出すことを防ぐようにし、改めて載荷・除荷に伴う圧電分極の評価を試みた。

本研究では、日本工業規格 JIS C6704:2017 に従って定義される結晶学的X, Y, Z軸をそれぞれ法線とする6面からなる直方体形状に加工された人工水晶を試料として用いた。Y軸方向を載荷軸にとった場合に、分極時に正負の電荷が最大に現れると期待されるX軸に垂直な対面を電極として用いる。これらの面に導電性ペーストを塗布して電極を形成した。非接触型電位測定器は、測定対象面からの距離を一定に保つ必要があるため、載荷中の試料表面を直接計測すると距離変動や機械的干渉が生じる恐れがある。そこで、試料表面と同電位になるように導線で接続された金属板の表面を計測対象面とするように計測システムは設計された。さらに、外装にはシールドを施し、外部からの電磁的・静電的ノイズの影響を低減した。非接触型電位測定器を採用することで、分極面を含む回路を開いた状態で維持し、開回路条件を保つことで電荷漏れ(リーク成分)を抑制し、一軸圧縮試験における載荷・除荷に伴って生じる各電極面の電位を取得する。

本発表では、様々な負荷速度や応力条件において実施した実験の荷重–電位応答記録(各電極面の電位測定値)をもとに、それらの差分として算出した電圧応答の周波数特性や、応力および荷重変化率に対する電圧応答の関係を示し、その特性や要因について議論する。