講演情報
[P19-02]地震波干渉法による大分県群発地震域における長期的な地震波速度変化:2016-2025年
*吉光 奈奈1、前田 拓人2 (1. 京都大学 大学院工学研究科、2. 弘前大学 大学院理工学研究科)
背景
大分県別府地域周辺では,しばしば活断層沿いや火山近傍で群発的な地震活動が観測されてきた.Maeda et al. (2010)は大分県別府市の気象庁観測点で取得された1年間の連続波形を用いて地震波干渉法解析を実施し,2007年の群発地震活動時に地震波速度の低下と回復を報告した.彼らの解析は,降雨や大地震以外を原因とする速度変化が地震波干渉法によって検出できる可能性を示したが,その後同様の事例はほとんど報告されていない.そこで,本研究ではMaeda et al. (2010)以降の時期について,長期間の記録を用いて同様の解析を実施し,群発地震の発生と速度変化の対応関係を精査する.微細な速度変化を微動記録から検出できる可能性が高まれば,断層の監視のみならず地下の利活用にとっても重要なモニタリングツールとなりうる.
解析
Maeda et al. (2010)で利用されたOITA2観測点は廃止されたため,その北西6.47 kmの位置に新設されたBEPPUA観測点の上下動・南北動成分を解析に用いた.2016年1月1日から2025年5月31日までのサンプリング周波数100 Hzの連続記録を1時間毎に分割し,1ビット化処理を施した後に自己相関関数(ACF)を計算し,1日分を重ね合わせて1日の平均ACFとした.解析時には0.5-1, 1-3, 2-4 Hzのバンドパスフィルタを適用した.その後,全期間のACFを重ね合わせて基準ACFを作成し,毎日のACFとのストレッチング解析により速度変化率を算出した.さらに,気象庁一元化震源を利用して,同時期の地震活動と速度変化の関係を比較した.
結果・議論
得られたACFを時間順に並べて評価した結果,ラグや周波数帯域によって異なる特徴が観察された.解析期間中,2016年4月に熊本,2024年8月に日向灘でMw7級の大地震が発生した.0.5-1 Hz帯ではこれらの地震に伴う明瞭なACFの位相変化は見られなかったが,1-3, 2-4 Hz帯では明瞭な位相変化が確認された.熊本地震発生後には別府周辺の地震活動も活発化した.ACFのラグ2-5秒に注目すると,1-3, 2-4 Hz帯では地震時に速度が減少し,地震活動の終息とともにそれが回復する様子が見られた.
1-3 Hz帯のラグ1-3秒に注目すると,南北動成分において2020年に地震活動が活発になった時期から約1年かけて徐々に速度が低下していった.同様の傾向は3-6秒でも見られたが,上下動成分では明瞭な変化は見られなかった.
また,1-3 Hz帯の1-3秒では,速度変化においては明瞭な季節変動は見られなかった一方,相関係数には明瞭な季節変動が現れた.冬季は相関が高く,夏季にかけて相関が悪くなる傾向が見られ,これは降雨量と関係があると考えられる.
大分県別府地域周辺では,しばしば活断層沿いや火山近傍で群発的な地震活動が観測されてきた.Maeda et al. (2010)は大分県別府市の気象庁観測点で取得された1年間の連続波形を用いて地震波干渉法解析を実施し,2007年の群発地震活動時に地震波速度の低下と回復を報告した.彼らの解析は,降雨や大地震以外を原因とする速度変化が地震波干渉法によって検出できる可能性を示したが,その後同様の事例はほとんど報告されていない.そこで,本研究ではMaeda et al. (2010)以降の時期について,長期間の記録を用いて同様の解析を実施し,群発地震の発生と速度変化の対応関係を精査する.微細な速度変化を微動記録から検出できる可能性が高まれば,断層の監視のみならず地下の利活用にとっても重要なモニタリングツールとなりうる.
解析
Maeda et al. (2010)で利用されたOITA2観測点は廃止されたため,その北西6.47 kmの位置に新設されたBEPPUA観測点の上下動・南北動成分を解析に用いた.2016年1月1日から2025年5月31日までのサンプリング周波数100 Hzの連続記録を1時間毎に分割し,1ビット化処理を施した後に自己相関関数(ACF)を計算し,1日分を重ね合わせて1日の平均ACFとした.解析時には0.5-1, 1-3, 2-4 Hzのバンドパスフィルタを適用した.その後,全期間のACFを重ね合わせて基準ACFを作成し,毎日のACFとのストレッチング解析により速度変化率を算出した.さらに,気象庁一元化震源を利用して,同時期の地震活動と速度変化の関係を比較した.
結果・議論
得られたACFを時間順に並べて評価した結果,ラグや周波数帯域によって異なる特徴が観察された.解析期間中,2016年4月に熊本,2024年8月に日向灘でMw7級の大地震が発生した.0.5-1 Hz帯ではこれらの地震に伴う明瞭なACFの位相変化は見られなかったが,1-3, 2-4 Hz帯では明瞭な位相変化が確認された.熊本地震発生後には別府周辺の地震活動も活発化した.ACFのラグ2-5秒に注目すると,1-3, 2-4 Hz帯では地震時に速度が減少し,地震活動の終息とともにそれが回復する様子が見られた.
1-3 Hz帯のラグ1-3秒に注目すると,南北動成分において2020年に地震活動が活発になった時期から約1年かけて徐々に速度が低下していった.同様の傾向は3-6秒でも見られたが,上下動成分では明瞭な変化は見られなかった.
また,1-3 Hz帯の1-3秒では,速度変化においては明瞭な季節変動は見られなかった一方,相関係数には明瞭な季節変動が現れた.冬季は相関が高く,夏季にかけて相関が悪くなる傾向が見られ,これは降雨量と関係があると考えられる.
