講演情報

[P21-02]日本の戦略的火星着陸探査における地震観測

*小野寺 圭祐1、川村 太一2、田中 智3、白石 浩章3、西川 泰弘4 (1. 岡山大学惑星物質研究所、2. パリシテ大学パリ地球物理研究所、3. JAXA宇宙科学研究所、4. 大阪教育大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
火星は地球に似た性質を部分的に有していたり(1日の長さや季節の有無など)、太古に表面の大部分が海に覆われていたこともあり、比較惑星学的観点・宇宙生物学的な観点から興味を集めてきた。近年では、人類の活動領域の拡大を目的として政策レベルでの計画も検討されている。

現在、JAXAでは2040年代に火星表面でのローバによる探査を見据え、2030年代に段階的に火星着陸探査を実施することを計画している。これは戦略的火星着陸探査と呼称されており、3段階に分けて火星への着陸技術の獲得並びに科学探査を行う予定である。最初のミッションであるSTEP1は2030年頃の実施を見据えており、エアロシェルを搭載した槍型のセミハードランダー(火星ペネトレータ)を用いた探査が検討されている。当ミッションには1990年代よりJAXAが開発を進めてきた惑星探査用の短周期地震計が搭載される予定であり、火星初のネットワーク地震観測の実現を目指す。

着陸点候補地にはNASAのインサイト計画で火星地震が複数回観測されたケルベルス地溝帯が挙げられている。インサイトの地震データの解析や測地観測データ(地形や重力場)の解析からこの地域の地下には現在でも活動的なマントルプルームの存在が示唆されており、火星の内部ダイナミクスを理解する上でも重要な地域であると言える。本発表では、戦略的火星着陸探査のSTEP1ミッションを概説するとともに着陸点候補地点であるケルベルス地溝帯の地震活動および地下構造に関するレビューを行う。