講演情報

[S07-02]回折波データを活用した波形インバージョン法による太平洋北東部下外核最下部の1次元P波速度構造推定

*大林 徹1、佐藤 嶺1、河合 研志1 (1. 東京大学)
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内核境界(ICB)は液体と固体の鉄合金が接する地球内部の最も主要な境界の一つであり、地球の熱進化を理解する上で重要な領域である。ICB直上の外核最下部(F層)では液体鉄の結晶化により軽元素が放出され、相対的に軽くなった物質の浮力が外核の対流を駆動していると考えられている。外核対流は地球磁場を維持しているほか、地球内部の最も主要な熱輸送機関の一つであるため、F層の構造を正確に推定することが地球表層の環境変動および熱進化を理解するための重要な手掛かりとなる。地震波走時を用いた順解析による既往研究によって、F層には低速度層が存在すると示唆されているが、研究ごとに推定された低速度層の厚みや速度勾配が異なっていた(e.g., Souriau & Poupinet, 1994; Ohtaki & Kaneshima, 2015)。そのため、従来手法の(ⅰ)地震波形データのうち走時という限られた情報のみしか取り扱えない、(ⅱ)ICBにおける回折波や走時の近い重なったフェーズを活用できない等の課題を克服し、より詳細な構造推定を行える新手法が望まれていた。我々の研究グループでは、波動理論に基づき地震波形の全情報を余すことなく使用することでマントルの詳細構造推定を行う波形インバージョン法(Kawai et al., 2014)が開発されてきた。我々は、これまで固体領域であるマントルにのみ適用されていた波形インバージョン法を液体領域に拡張することで、回折波や重なったフェーズを波動理論に基づいて扱える新手法を開発してきた。開発した手法にPKP、PKiKP、PKIKPフェーズの波形データを適用することで得られた予察的な構造推定結果から、太平洋北東部下F層において厚さ約130 kmの低速度層が存在することが示唆された(大林ほか, JpGU 2025)。本発表ではデータセットに回折波などを含むように改善することで、より高解像度での構造推定を試みる。NIEDおよびIRISによって提供されている地震波形データを使用し、これまで用いたデータにPKPc-diffフェーズを加えて太平洋北東部下F層の1次元P波速度構造を行う。また、推定モデルの妥当性の検証および、その地球科学的な解釈も行う。