講演情報
[S08-22]地震のべき乗則に迫る:地震の数理モデルが示す相転移境界の導出
*大谷 哲人1、亀 伸樹1 (1. 東京大学 地震研究所)
Olami-Feder-Christensen (OFC)モデルは、地震断層面での破壊伝播を単純な数理ルールで表現したcellular automatonであり、地震サイズ頻度分布のべき乗則 (Gutenberg-Richter Law)を再現する。OFCモデルにおけるべき乗則の発現には不均質性の存在とsynchronization(より大きい地震を生成する過程)、およびdesynchronization(より小さい地震を生成する過程)という2つのプロセスが重要とされてきた。しかし、べき乗則発現に必要な本質的メカニズムは30年以上にわたり未解明のままである。
Otani and Kame (2024)は、OFC モデルにおける不均質性の最小要素のみで構成される単一欠陥モデルを提案し、全体のエネルギー散逸係数αに対し単一欠陥のエネルギー散逸係数βを変化させ、明確な相転移境界を持つ3つの相を見いだした(図)。ここで、asynchronous phaseでは最小サイズの地震、ordered phaseでは周期的な地震、self-organized critical (SOC) phaseではサイズ頻度分布がべき乗則に従う地震が生成される。特に、Ordered phaseからSOC phaseへの相転移現象の理解は、べき乗則発現機構の重要な手がかりとなる。
本研究では、Ordered phaseの定量的記述から相転移曲線を理論的に導出した。隣り合う格子サイト間のエネルギーに成り立つ不等式と、単一欠陥モデルの地震開始位置の特性を組み合わせることで相転移曲線が導出される。この理論曲線は数値実験で見いだされた図に示される曲線とよく一致し、本研究の理論的考察の妥当性を示している。
OFCモデルではdesynchronizationは超臨界局所エネルギー(各サイトが蓄えられるエネルギーの閾値を超えたエネルギーの値)が存在していれば引き起こされるとされていた。本研究の理論的考察により、単一欠陥モデルではdesynchronizationを引き起こすためにはある閾値を超えた十分に大きい超臨界局所エネルギーが必要であることが明らかになった。単一欠陥がべき乗則発現に必要な最小限の不均質性であることを考慮すると、desynchronizationの本質は十分に大きい超臨界局所エネルギーの存在であることが示唆される。この発見はOFCモデルにおけるべき乗則発現の本質的メカニズム解明への手掛かりを提供するものである。
Otani and Kame (2024)は、OFC モデルにおける不均質性の最小要素のみで構成される単一欠陥モデルを提案し、全体のエネルギー散逸係数αに対し単一欠陥のエネルギー散逸係数βを変化させ、明確な相転移境界を持つ3つの相を見いだした(図)。ここで、asynchronous phaseでは最小サイズの地震、ordered phaseでは周期的な地震、self-organized critical (SOC) phaseではサイズ頻度分布がべき乗則に従う地震が生成される。特に、Ordered phaseからSOC phaseへの相転移現象の理解は、べき乗則発現機構の重要な手がかりとなる。
本研究では、Ordered phaseの定量的記述から相転移曲線を理論的に導出した。隣り合う格子サイト間のエネルギーに成り立つ不等式と、単一欠陥モデルの地震開始位置の特性を組み合わせることで相転移曲線が導出される。この理論曲線は数値実験で見いだされた図に示される曲線とよく一致し、本研究の理論的考察の妥当性を示している。
OFCモデルではdesynchronizationは超臨界局所エネルギー(各サイトが蓄えられるエネルギーの閾値を超えたエネルギーの値)が存在していれば引き起こされるとされていた。本研究の理論的考察により、単一欠陥モデルではdesynchronizationを引き起こすためにはある閾値を超えた十分に大きい超臨界局所エネルギーが必要であることが明らかになった。単一欠陥がべき乗則発現に必要な最小限の不均質性であることを考慮すると、desynchronizationの本質は十分に大きい超臨界局所エネルギーの存在であることが示唆される。この発見はOFCモデルにおけるべき乗則発現の本質的メカニズム解明への手掛かりを提供するものである。

