講演情報

[S09-05]地震マグニチュードのクラスタリングによる情報利得 : 物理モデルからの示唆

*三上 周大1、波多野 恭弘1 (1. 大阪大学)
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地震予測を支える要素の一つとして、地震には時間的・空間的にクラスタリングする傾向があり、この時空間クラスタリングは、Epidemic-Type Aftershock Sequence (ETAS) モデルのような余震予測に広く用いられている。一方で、ETAS モデルでは、マグニチュードは Gutenberg-Richter (GR) 則に従い、独立に決まると仮定されており、マグニチュード予測はほとんどできていない。しかし近年、マグニチュードが独立に決まるという従来の仮定に反し、マグニチュードクラスタリング (マグニチュード間の正の相関) の存在が示唆され、注目を集めている [Xiong 2023]。一方で、マグニチュードクラスタリングは、地震の検出限界などに起因する地震カタログの不完全性による見かけの相関ではないかという指摘もあり、その存在については現在も活発な議論が続いている。仮にマグニチュードクラスタリングが実在するのであれば、マグニチュード予測への大きな一歩となり得る。そのため、マグニチュードクラスタリングがマグニチュードに関してどれだけの情報を持つかを評価することは、予測において重要である。
本研究では、南カリフォルニアの地震カタログと、地震の統計則をよく再現する Olami-Feder-Christensen (OFC) モデル [Olami 1992] によって生成された人工カタログを用いて、マグニチュードクラスタリングについて調べる。南カリフォルニアのカタログは、[Xiong 2023] に従って、カタログの不完全性を減らす処理を行う。また、OFC モデルによる人工カタログにはカタログの不完全性が存在しないため、不完全性の影響を排除することができる。この両カタログに対して、マグニチュード閾値以上の連続する地震のマグニチュードの条件付き確率と条件付き b 値からマグニチュードクラスタリングが存在することを示す。その後、マグニチュードクラスタリングがもつマグニチュードに関する情報を Kullback-Leibler divergence に基づいた情報利得を評価する。情報利得の評価にあたっては、「GR 則から新たにマグニチュードクラスタリングの存在を知ったときの情報利得」を、「地震についての知識がない人 (マグニチュードが一様分布) が新たに GR 則を知ったときの情報利得」と比較した。その結果、南カリフォルニアおよび OFC の両カタログにおいて、GR 則を基準とした場合に小さいながらも無視できない程度の情報利得が存在することが明らかとなった。