講演情報
[S16-03]表面波探査と地震波干渉法による浅部地盤構造探査と可視化
*居樹 幸太朗1、平井 敬1、高橋 広人2、護 雅史3、鈴木 晴彦4 (1. 兵庫県立大学、2. 名城大学、3. 名古屋大学、4. 応用地質株式会社)
地震防災や建築耐震を考えるには,地下構造を知ることが重要である.その方法としては,たとえば掘削調査が挙げられる.この掘削調査は正確な地盤情報を得ることが可能であるが,手間と費用が懸念となる.掘削を伴わない非破壊による調査は費用や手間の点で優れているが,得られたデータの妥当性を担保する必要がある.非破壊調査においては,人工起振する方法と受動的な微動記録の処理で工夫する方法がある.前者には林ら(2001)1)に代表される浅層レイリー波探査がある.これは表面波の一つであるレイリー波を観測し,分散曲線と地下構造を推定する方法である.そして後者の方法のひとつは,高橋ら(2022)2),高橋(2023)3)のような,風や波によって生じる常時微動記録に地震波干渉法を応用して擬似起振記録を得る方法である.これは通常の地震波解析にてノイズ処理として使用される方法を常時微動の観測記録に応用することで,常時微動記録から擬似起振記録を数値的に算出し,そこから分散曲線と地下構造を可視化していく方法である.前者の理論は確立されており広く用いられている一方,後者は未だ試行段階である.そのため,前者の方法と比較した例は少なく,これらの間の整合性は不明瞭のままとなっている.そこで著者らはこれら両手法を比較し,その組み合わせによる新たな地下構造調査法の構築の可能性について居樹ら(2025)4)で検討してきた. 本研究では常時微動記録に地震波干渉法を適用する手法と浅層レイリー波探査を比較・検証することを目的とした.
センサーを同一の測線に配置して,両手法を適用し,比較できるようにした.これにより,1.両手法により推定される分散曲線と地下構造は一致するのかどうか.2.一致しないならば,どのように異なるか.3.両手法の長所を組み合わせることで,より高精度な地下構造の推定手法を構築できるか.の3点を明らかにすることを目指す.
図1のように測線を設定し,名古屋大学東山キャンパス内にて微動観測および浅層レイリー波探査を行った.図2のとおり微動観測は3種類の測線(Long測線:4 m間隔160 m | Middle測線:2 m間隔80 m | Short測線:1 m間隔40 m)について行った.そして図3のとおり,浅層レイリー波探査はMiddle測線の区間に対して1 m間隔24点で行った.図4-6には,横軸に時間を取ったときの微動観測におけるセンサー間のグリーン関数の波動伝播を示している.これによると,加振点としているセンサーから波動が伝播していく様子が確認できた.また,浅層レイリー波探査における波形データを図7に示す.これによると,加振した際の振動が伝播していく波形を見ることができた.ここで研究方法の妥当性を検証するため,一部記録にPark et al.(1999)5)の方法を適用した。図8,9に測線座標−2 m地点を共通中心点として微動波形記録から算出した分散曲線を示す.これによると,Long測線では0–5 Hz付近,Short測線では5–16 Hz付近で分解能の高い結果が得られたことがわかる.図10に測線座標−2.5 m地点を共通中心点とした浅層レイリー波探査の分散曲線を示す.これによると,15–25 Hz付近において分解能の高い結果が得られたことがわかる.図11にこれらを繋げたもの,図12にそれをBallard(1964)6)の方法により周波数を深さに変換し,測線座標−2 m付近の地下構造(S波速度の深さ分布)を得たものを示す.これによると深くなるほどS波速度が上昇しており,これまでの知見と整合性のある結果となった.
表面波探査について,図13に林らの方法を適用した結果を示す.今後,微動記録も同様に適用し,表面波探査の結果と比較する.
参考文献
1.林宏一, 鈴木晴彦, 斎藤秀樹, 人工振源を用いた表面波探査の開発とその土木地質調査への適用, 応用地質技術年報, No.21, pp.9-39, 2001
2.高橋広人, 平井敬, 護雅史, 2次元S波速度構造推定における地震波干渉法の常時微動記録への適用性, 日本建築学会構造系論文集, 87, pp.690-700, 2022
3.高橋広人, 地震波干渉法の常時微動記録への適用による二次元S波速度構造の推定, 第16回日本地震工学シンポジウム, Day1-G417-24, 2023
4.居樹幸太朗, 平井敬, 高橋広人, 護雅史, 鈴木晴彦, 浅層レイリー波探査と地震波干渉法による浅部地盤のグリーン関数の比較・検討, 減災復興学研究, 2, pp.11-15, 2025
5.Park, C.B., Miller, R.D., and Xia, J, Multimodal analysis of surface waves, Geophysics, 64, pp.800-808, 1999
6.Ballard, R.F, Jr., Determination of soil shear moduli at depths by in-situ vibratory techniques, Miscelaneous Paper, No.4–691.Vicksburg, p.8, 1964
謝辞
本研究は,公益財団法人木下記念事業団の令和6年度学術研究活動助成事業による研究(研究代表者:平井敬.研究課題名:浅層レイリー波探査とリニアアレイ微動観測を組み合わせた新たな地下構造推定法の構築)の一部として実施されました.名古屋大学の飛田潤教授には,共同研究者との協議の場において情報提供およびご意見をいただきました.また,名城大学の岩永正徳氏,関竣介氏,兵庫県立大学の白井和音氏には観測・実験において協力を得ました.感謝申し上げます.
センサーを同一の測線に配置して,両手法を適用し,比較できるようにした.これにより,1.両手法により推定される分散曲線と地下構造は一致するのかどうか.2.一致しないならば,どのように異なるか.3.両手法の長所を組み合わせることで,より高精度な地下構造の推定手法を構築できるか.の3点を明らかにすることを目指す.
図1のように測線を設定し,名古屋大学東山キャンパス内にて微動観測および浅層レイリー波探査を行った.図2のとおり微動観測は3種類の測線(Long測線:4 m間隔160 m | Middle測線:2 m間隔80 m | Short測線:1 m間隔40 m)について行った.そして図3のとおり,浅層レイリー波探査はMiddle測線の区間に対して1 m間隔24点で行った.図4-6には,横軸に時間を取ったときの微動観測におけるセンサー間のグリーン関数の波動伝播を示している.これによると,加振点としているセンサーから波動が伝播していく様子が確認できた.また,浅層レイリー波探査における波形データを図7に示す.これによると,加振した際の振動が伝播していく波形を見ることができた.ここで研究方法の妥当性を検証するため,一部記録にPark et al.(1999)5)の方法を適用した。図8,9に測線座標−2 m地点を共通中心点として微動波形記録から算出した分散曲線を示す.これによると,Long測線では0–5 Hz付近,Short測線では5–16 Hz付近で分解能の高い結果が得られたことがわかる.図10に測線座標−2.5 m地点を共通中心点とした浅層レイリー波探査の分散曲線を示す.これによると,15–25 Hz付近において分解能の高い結果が得られたことがわかる.図11にこれらを繋げたもの,図12にそれをBallard(1964)6)の方法により周波数を深さに変換し,測線座標−2 m付近の地下構造(S波速度の深さ分布)を得たものを示す.これによると深くなるほどS波速度が上昇しており,これまでの知見と整合性のある結果となった.
表面波探査について,図13に林らの方法を適用した結果を示す.今後,微動記録も同様に適用し,表面波探査の結果と比較する.
参考文献
1.林宏一, 鈴木晴彦, 斎藤秀樹, 人工振源を用いた表面波探査の開発とその土木地質調査への適用, 応用地質技術年報, No.21, pp.9-39, 2001
2.高橋広人, 平井敬, 護雅史, 2次元S波速度構造推定における地震波干渉法の常時微動記録への適用性, 日本建築学会構造系論文集, 87, pp.690-700, 2022
3.高橋広人, 地震波干渉法の常時微動記録への適用による二次元S波速度構造の推定, 第16回日本地震工学シンポジウム, Day1-G417-24, 2023
4.居樹幸太朗, 平井敬, 高橋広人, 護雅史, 鈴木晴彦, 浅層レイリー波探査と地震波干渉法による浅部地盤のグリーン関数の比較・検討, 減災復興学研究, 2, pp.11-15, 2025
5.Park, C.B., Miller, R.D., and Xia, J, Multimodal analysis of surface waves, Geophysics, 64, pp.800-808, 1999
6.Ballard, R.F, Jr., Determination of soil shear moduli at depths by in-situ vibratory techniques, Miscelaneous Paper, No.4–691.Vicksburg, p.8, 1964
謝辞
本研究は,公益財団法人木下記念事業団の令和6年度学術研究活動助成事業による研究(研究代表者:平井敬.研究課題名:浅層レイリー波探査とリニアアレイ微動観測を組み合わせた新たな地下構造推定法の構築)の一部として実施されました.名古屋大学の飛田潤教授には,共同研究者との協議の場において情報提供およびご意見をいただきました.また,名城大学の岩永正徳氏,関竣介氏,兵庫県立大学の白井和音氏には観測・実験において協力を得ました.感謝申し上げます.

