講演情報
[S19-02]令和6年能登半島地震に際する防災情報と地震動予測地図に関する住民意識
*齋藤 さやか1、安本 真也2、石橋 真帆2、関谷 直也2、平田 直2 (1. 東北大学、2. 東京大学)
1.はじめに
2024年1月1日に石川県能登地方で発生したM7.6 (最大震度7)の大地震によって、能登半島を中心に甚大な被害が発生した。地震に関する防災情報の受け止め方や、事前の意識について調査分析することは、今後の被害軽減策や情報発信について検討する上で重要であると考えられる。そこで本研究では2020年12月から継続していた「令和6年(2024年)能登半島地震」に関する意識調査「令和6年能登半島地震被災地等における全国地震動予測地図の認知度等に関する調査結果」に基づき、地震や地震防災に関する情報源や情報の捉え方に焦点をあて報告する。
2.調査概要
本研究は、⽂部科学省研究開発局地震⽕⼭防災研究課(地震調査研究推進本部事務局)が実施した調査に基づいて行った。調査は2024年12月12日~2025年1月21日に実施した郵送質問紙調査である。実施に当たって、本研究著者らと、東京⼤学⼤学院情報学環総合防災情報研究センターが調査計画の作成と分析に協力した(地震調査研究推進本部政策委員会報検討部会、2025)。調査対象は、輪島市及び珠洲市の一般住宅及び仮設住宅、金沢市の一般住宅で、調査票配布数は5,653件、有効回収票は1999件(回収率35.4%)である。
3.調査結果
3.1 地震発生前の情報源
「2024年1月1日の地震が発生する前、地震や地震対策のことを知るのに参考にしていた人はいましたか。(いくつでも〇)」と聞いたところ、最も多かったのは「テレビなどのコメンテーター」35.1%(702人)、次いで「参考にしていた人はいない」32.8%(656人)であった。同様に「情報源として参考にしていたメディア」は、「テレビ(NHK)」61.5%(1,229人)、「テレビ(民放)」46.0%(919人)であった。また、「参考にしていた国や自治体の情報」は、「自治体(市町)のハザードマップや防災マップ」48.6%(972人)、「気象庁による地震の情報」32.5%(650人)であった。
3.2 地震動予測地図
地震調査研究推進本部による全国地震動予測地図(今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した地図、以下、地震動予測地図)の認知率は、約4割(40.6%)(812人)であった。また、「地震は『地下で起こる現象』、地震動は『それ(地震)によっておこる揺れ』を指しています。あなたはそのことをご存知でしたか。」と聞いたところ、「地震と地震動の違いを知らなかった」人が最も多く65.6%(1311人)であり、「地震動」が必ずしも十分浸透していない可能性が見てとれた。次に、地図に示される色について、黄色の部分(今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が0.1%~3%)が、どの程度、大きな地震が起こりやすいと思うか聞いたところ、「やや地震が起こりやすい」と回答した人が約3割の32.8%(655人)で最も多く、赤色部分(同様に、6~26%の赤色、26~100%の濃い赤色)については、「非常に地震が起こりやすい」とした人が約6割の59.7%(1194人)で、最も多かった。
3.3 地震予測の可能性と情報提供
「最新の地震学に基づけば、地震の予測は、どの程度可能だと思いますか。」と尋ねたところ、回答は最も多い順に「今後30年以内に起こりうる地震は、まったく予測できないと思う」26.4%(528人)、「半分くらいが、予測可能だと思う」19.9%(397人)であった。一方で、地震動予測のモデルやデータには不確実性も含まれることを示しつつ、情報提供をどう考えるか聞いたところ、「不確実さがあったとしても、情報提供すべきだと思う」33.9%(678人)、「不確実さがあったとしても、情報提供したほうがよいと思う」47.7%(953人)と、情報を求める声が約8割を占めた。
4.まとめ
以上から、①テレビや基礎自治体を経由した情報が主要な情報源であったこと、②「地震動」という用語が一般的には理解が難しい可能性、③確率情報は赤い色は非常に地震が起こりやすい、黄色い色はやや地震が起こりやすいと捉えている人が多く、情報発信側の意図通りに伝わっていない可能性があること、④モデルやデータに不確実性が伴っていても、地震動予測の公表を求める意識が高く、今後も研究及び情報発信が求められることが考えられた。
文献
地震調査研究推進本部政策委員会報検討部会(2025)令和6年能登半島地震被災地等における全国地震動予測地図の認知度等に関する調査について(報告)、地震調査研究推進本部政策委員会 第8回広報検討部会資料 広8−(2) https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/hokoku25d/khk8-2.pdf
2024年1月1日に石川県能登地方で発生したM7.6 (最大震度7)の大地震によって、能登半島を中心に甚大な被害が発生した。地震に関する防災情報の受け止め方や、事前の意識について調査分析することは、今後の被害軽減策や情報発信について検討する上で重要であると考えられる。そこで本研究では2020年12月から継続していた「令和6年(2024年)能登半島地震」に関する意識調査「令和6年能登半島地震被災地等における全国地震動予測地図の認知度等に関する調査結果」に基づき、地震や地震防災に関する情報源や情報の捉え方に焦点をあて報告する。
2.調査概要
本研究は、⽂部科学省研究開発局地震⽕⼭防災研究課(地震調査研究推進本部事務局)が実施した調査に基づいて行った。調査は2024年12月12日~2025年1月21日に実施した郵送質問紙調査である。実施に当たって、本研究著者らと、東京⼤学⼤学院情報学環総合防災情報研究センターが調査計画の作成と分析に協力した(地震調査研究推進本部政策委員会報検討部会、2025)。調査対象は、輪島市及び珠洲市の一般住宅及び仮設住宅、金沢市の一般住宅で、調査票配布数は5,653件、有効回収票は1999件(回収率35.4%)である。
3.調査結果
3.1 地震発生前の情報源
「2024年1月1日の地震が発生する前、地震や地震対策のことを知るのに参考にしていた人はいましたか。(いくつでも〇)」と聞いたところ、最も多かったのは「テレビなどのコメンテーター」35.1%(702人)、次いで「参考にしていた人はいない」32.8%(656人)であった。同様に「情報源として参考にしていたメディア」は、「テレビ(NHK)」61.5%(1,229人)、「テレビ(民放)」46.0%(919人)であった。また、「参考にしていた国や自治体の情報」は、「自治体(市町)のハザードマップや防災マップ」48.6%(972人)、「気象庁による地震の情報」32.5%(650人)であった。
3.2 地震動予測地図
地震調査研究推進本部による全国地震動予測地図(今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した地図、以下、地震動予測地図)の認知率は、約4割(40.6%)(812人)であった。また、「地震は『地下で起こる現象』、地震動は『それ(地震)によっておこる揺れ』を指しています。あなたはそのことをご存知でしたか。」と聞いたところ、「地震と地震動の違いを知らなかった」人が最も多く65.6%(1311人)であり、「地震動」が必ずしも十分浸透していない可能性が見てとれた。次に、地図に示される色について、黄色の部分(今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が0.1%~3%)が、どの程度、大きな地震が起こりやすいと思うか聞いたところ、「やや地震が起こりやすい」と回答した人が約3割の32.8%(655人)で最も多く、赤色部分(同様に、6~26%の赤色、26~100%の濃い赤色)については、「非常に地震が起こりやすい」とした人が約6割の59.7%(1194人)で、最も多かった。
3.3 地震予測の可能性と情報提供
「最新の地震学に基づけば、地震の予測は、どの程度可能だと思いますか。」と尋ねたところ、回答は最も多い順に「今後30年以内に起こりうる地震は、まったく予測できないと思う」26.4%(528人)、「半分くらいが、予測可能だと思う」19.9%(397人)であった。一方で、地震動予測のモデルやデータには不確実性も含まれることを示しつつ、情報提供をどう考えるか聞いたところ、「不確実さがあったとしても、情報提供すべきだと思う」33.9%(678人)、「不確実さがあったとしても、情報提供したほうがよいと思う」47.7%(953人)と、情報を求める声が約8割を占めた。
4.まとめ
以上から、①テレビや基礎自治体を経由した情報が主要な情報源であったこと、②「地震動」という用語が一般的には理解が難しい可能性、③確率情報は赤い色は非常に地震が起こりやすい、黄色い色はやや地震が起こりやすいと捉えている人が多く、情報発信側の意図通りに伝わっていない可能性があること、④モデルやデータに不確実性が伴っていても、地震動予測の公表を求める意識が高く、今後も研究及び情報発信が求められることが考えられた。
文献
地震調査研究推進本部政策委員会報検討部会(2025)令和6年能登半島地震被災地等における全国地震動予測地図の認知度等に関する調査について(報告)、地震調査研究推進本部政策委員会 第8回広報検討部会資料 広8−(2) https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/hokoku25d/khk8-2.pdf

