講演情報

[S22-15]地震と活断層の知識グラフ構築と相互運用性の検証

*上松 大輝1,2、内田 直希3、鶴岡 弘3、武田 英明2,1 (1. 総合研究大学院大学、2. 国立情報学研究所、3. 東京大学地震研究所)
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本研究では,地震や災害事例,活断層等の情報を構造化し,Linked Dataと呼ばれる構造化されたリンク構造を持つ形式で記述することで,それぞれのデータを相互に連携して利活用可能な形式とする.さらに,Linked Data化されたデータを用いて,地震の発生状況と活断層との関係性発見を目指す.
著者らは,これまでに気象庁が公開している地震カタログのデータを構造化し,地震動を観測した観測点の情報や震度,観測時刻,また観測された波形から推定された震源の位置やマグニチュードなど,「地震」のメタデータをLinked (Open) Dataの形式とし,地震LOD(地震のLinked Open Data)として公開してきた(https://seismic.balog.jp/).Linked Dataは事物や概念が一意のURIを持ち,リンク構造を持つことでデータ同士をつなぐことができる.Linked Dataでは,事物や概念のリンク構造をトリプルと呼ばれるモデルで表現し,Webサイトのリンクを辿ることと同様に,プロパティ(リンク)を辿ることで,データを辿ることができる.ここで,Webサイトのリンクは,単なるつながりを示しているが,Linked DataのトリプルではリンクとなるプロパティもURIを持ちリンクの関係性を示している.また,Linked Open Dataはオープンな形式で公開されたLinked Dataを指す.地震LODでは,地震データに特化したプロパティとして,震源や震度,観測時刻などの地震動や観測点に関する語彙を新たに定義している.例えば,「地震動」は,「震度」や「観測点」「観測時刻」等の語彙をプロパティとして持つ.また,「観測した波形」という語彙をプロパティとすることで,ある地震動を観測した波形のトリプルが作成され,「地震」そのものを観測することは難しいが,観測された地震動のリンク構造から「地震」を表現することが可能である.一方,防災科学技術研究所の地震ハザードステーション J-SHISや産業技術総合研究所では,日本の主要な活断層のデータが公開されている.活断層は将来的にも活動すると考えられる断層で,地震と活断層は密接に関わっているとされている.活断層データは,断層の形状(長さや幅)だけでなく,ずれの向きや種類,最新活動時期といった情報を持つ.これらのデータを地震のデータと組み合わせて柔軟に検索可能とすることで,活断層と地震活動との関係性発見が可能であると考えられる.そこで,まずは地震調査委員会による約110の日本の主要活断層帯のデータをLODとし,地震LODが持つ過去の地震データとの関係性の発見を目指す.予備的な解析の結果では,活断層の周辺では,周囲よりも地震活動が活発な場所が多い一方,その活動度には大きなばらつきが見られた.
本研究は地震データと活断層データをLODとして統合し,相互運用性を高めることで,新たな知見の発見や防災・減災に資する分析基盤の構築を目指すものである.これにより,地震現象と断層活動の関係の体系的な理解の進展が期待される.さらに,将来的には,地震活動以外のデータも含めたデータ統合により、活断層の監視やTime dependentな地震リスク評価・社会的対応策の検討に貢献することが期待される.