日本調理科学会2024年度大会

大会実行委員長挨拶

大会実行委員長:藤井 恵子 (日本女子大学)


平素より日本調理科学会の活動にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度、2024年9月6日、7日に日本調理科学会2024年度大会を鎌倉女子大学で対面方式にて開催することになりました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により新しい生活様式が模索され、外食から中食、内食へ、また加工食品を手作りするなど家庭内調理が見直されています。そこには、大量消費・大量廃棄の消費型から自前で作る昔ながらの生活への回帰、作ること・食べることへの新たな価値の発見がありました。新型コロナウイルス感染症が収束しつつある今、この社会的な現象が一過性のものとして忘れ去られるのか、形を変えて持続可能な食の社会変革につながっていくのか学会としても注目しているところです。

開催地である鎌倉は、歴史ある寺社・仏閣があるため、世界中から観光客が訪れます。特色ある鎌倉野菜やけんちん汁に代表される精進料理は、日本だけでなく世界中の人に愛されています。味が濃く、彩りのよい鎌倉野菜は有名レストランでも多く利用されており、精進料理はベジタリアンやヴィーガンの食事、ハラルフードに応用でき、外国人観光客にも対応できる食事として知られるようになりました。

2024年度大会では「調理科学のこれから―家庭・地域・社会への貢献―」をテーマとし、研究発表、事業報告会に加え、公開学術シンポジウムとして「調理の未来を考える―家庭内食と中食のこれから―」、開催地鎌倉にちなんだ公開教育講演会として「鎌倉の精進料理と地場野菜―次世代・世界へのメッセージ―」、学術講演会として「食卓を彩る香りの技術―大学・企業の取り組み―」を企画しております。

また本学会で2022年度から開始しております、我が国の食文化に調理科学の視点から取り組む特別研究「多様な調理法と家庭料理の伝承」の成果発表、および能登半島地震で炊き出し活動を行ったNPO法人キャンパーと共同でデモ調理や報告会も予定しております。

2024年度大会が調理科学の未来に向け、家庭、地域、社会への貢献を考える機会になると幸いです。
多数の皆様のご参加を実行委員一同、心よりお待ち申し上げております。