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[健康福祉-SB-1]身体的存在としての子どもとその含意

*坂本 拓弥1 (1. 筑波大学)
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<演者略歴>
千葉大学教育学部を卒業。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科を単位取得退学。博士(教育学)。明星大学教育学部助教を経て、2018年より筑波大学体育系助教。専門は体育・スポーツ哲学。特に身体論と欲望論。著書に『体育がきらい』(筑摩書房)や『探究 保健体育教師の今と未来 20講』(共編著、大修館書店)がある。
本報告の目的は、子どもたちが身体的存在として生きていることを、体育哲学、特に身体論の立場から示すことである。この試みは、デジタル化が急速に進む今日の社会や学校において、子どもたちが何を、どのように経験し、またそれが子どもたちにとってどのような意味を持っているのかを考えることでもある。
 子どもを身体的存在と捉えることは、我々の持つ「子ども観」を変える可能性がある。例えば、子どもが友達と上手く付き合えないという事象は、「思いやり」といった心の問題ではなく、むしろ他者との身体的なかかわりの問題として捉えられる。それは同時に、従来の体育において体力や運動の技能に限定されてきた子どもたちの身体の力を、より広い文脈に置き直し、その「豊かさ」を示すことにもなる。
 そのような身体の力は、学校や家庭を含めた生活の場において、子どもたちが多様な身体的経験を積むことによって培われる。だからこそ我々には、スポーツ運動に囚われず、子どもたちの身体そのものに改めて目を向け、その身体を豊かに育むとは如何なることなのかを探求することが求められるだろう。さらにはその「豊かさ」が、デジタルが隅々まで浸透する社会において、子どもたちの存在と生に実感を与えることを示していきたい。

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