講演情報

[生涯スポーツ-SA-3]直接経験と間接経験のはざまにあるスポーツ

*髙橋 徹1 (1. 岡山大学)
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<演者略歴>
国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科博士課程修了後、環太平洋大学体育学部、仙台大学体育学部を経て、現在は岡山大学学術研究院教育学域 講師。専門は体育・スポーツ哲学、体育原理。主著に『はじめて学ぶ体育・スポーツ哲学』(みらい、2018)『スポーツ文化論』(みらい、2022)『体育原理』(みらい、2024)。
スポーツの価値を考えようとする際に避けては通れない論題が、「スポーツとは何か」という問いである。なぜなら、スポーツという言葉のもつ語意に対する一定の共通了解なしには、「スポーツの価値とは何か」についての答えの範囲がどこまでも広がり得ると考えられるからである。
 しかし、スポーツを定義づける試みは容易なものではない。その理由の一つとして、スポーツという言葉の指し示す範囲が状況によって変化しすぎることが挙げられる。今やスポーツの厳密な定義や範囲の決定はほとんど不可能であるとさえ指摘されている(林、2024)。
 このようにスポーツの価値に関する議論には困難が伴うものの、本発表ではスポーツを経験するという視点からスポーツを照査し、スポーツの特徴を考える上での一つの視座の提供を試みたい。例えば、元来スポーツは身体性という特徴がゆえに、我々の身体に対し直接的な経験を提供する文化として認識されてきたが、近年のテクノロジーの進化によって、身体という制限を放棄した形でもスポーツが存在し得ることが示されている。このような状況を直接経験と間接経験という観点から議論することで、スポーツの価値に関する議論の一助を示したい。

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