講演情報

[生涯スポーツ-SB-1]スポーツと公共性

*菊 幸一1 (1. 国士舘大学)
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<演者略歴>
1957年富山県生まれ。体育・スポーツ社会学を専攻。九州大学、奈良女子大学、筑波大学を経て、現在国士舘大学大学院特任教授。教育学博士(筑波大学)。日本スポーツ体育健康科学学術連合代表、前日本体育・スポーツ・健康学会会長、前日本スポーツ社会学会会長、文部科学省学習指導要領作成協力者(高校保健体育、座長)など。
スポーツと公共性との関係が問題とされ始めたのは、そう古い話ではない。少なくとも19世紀以降の近代スポーツは「ブルジョア」スポーツや「アマチュア」スポーツと言われていたように、ある特定の(上・中流)階級や階層(学生・企業)に閉じられた活動として存在し、その公共性は主に教育的価値(教育的公共性)によって長らく担保されてきたからである。しかし、1990年代以降の現代スポーツ状況(大衆化と高度化の急速な進展)は、よりオープンな政治・経済・社会との関係を深めることによって、これまで隠蔽されてきたスポーツにおける格差や不平等などを社会問題化した。つまり、それは、スポーツにおける公共性に対する社会(市民)的な問いや関心の現われであり、公共性(official, open & common)の対象としてスポーツがみられている一証左でもある。そこで本発表では、「社会の中のスポーツ」という観点からスポーツの公共性を考え、社会に求められる市民的公共性構築に向けた「メディアとしてのスポーツ」の意義や価値を改めて歴史社会的に論じる。そのためには、近代スポーツの社会発生をレジャー概念に求めるとともに、そこでの社会的性格が現代スポーツの公共的性格とどのようにつながり、スポーツの大衆化と高度化との関係をどのように持続可能なものにしていけるのかを考える必要がある。

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