講演情報

[11教-口-06]児童が対話を相互に評価できるようにするためのコミュニケーションデザインマップの開発

*佐藤 章雄1 (1. 日本体育大学大学院教育学研究科)
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現在、教育の潮流はコンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースへと移行し、「何を知っているか」から「どのように問題解決を成し遂げるのか」という学習過程を重視する学びが求められるようになっている(佐藤、2021)。また、課題解決に向けて児童が他者との対話を通して自己の思考を広げ、深める対話的な学びの実現は喫緊の課題である(学習指導要領、2017)。このことから本研究では児童自身がより良い対話の在り方を目指すことを促すツールを開発することを目的とした。西岡(2016)によると、教師が学習内容に照らして設定した力を児童相互で評価し合うことで、児童がその力を互いに高め合えるという。そこで本研究では児童同士の対話力の具体として、伝える力と聴く力に焦点を当て、これらを同時に相互評価するためのシートである「コミュニケーションデザインマップ(CDM)」を作成した。CDMは、対話の質の評価規準を教師と児童が共に作成・修正しながら単元を通して使用するツールであり、これにより児童が対話の質の向上を目指しやすくすることをねらいとした。また、本研究はデザイン研究のフレームワークを援用して、複数の単元での成果検証を繰り返した。検証の結果、実践的成果として、各単元において単元進行とともに相互評価が一致するようになったほか、単元の特性や構成によって、評価の上がり下がりが異なることが確認された。次に、理論的成果として、CDMの使用にあたっては、評価の一致を図るための具体例の提示や、児童の自尊感情や人間関係を考慮したグループ編成、単元はじめからの評価の公開が重要であると考えられた。

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