講演情報

[11教-口-07]体育授業におけるケネス・J・ガーゲンの教育評価論の応用可能性と有効性についての研究ポートフォリオ評価に焦点をあてて

*牧野 祥子1 (1. 国際武道大学)
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本研究は、社会構成主義に立脚するケネス・J・ガーゲンの教育評価論の体育授業における評価への応用可能性とその意義を示すことを目的とした。社会構成主義とは、西洋哲学の伝統である主体としての個人を社会の出発点とするのではなく、人々が現実とみなしているものは、つねにすでに社会的な関係性から生まれ、社会的に構成されたものであると捉える立場である。ガーゲンは、学校教育において、社会構成主義の立場から見た評価として、「関係に基づく評価」の必要性を強調している。関係に基づく評価は、生徒の成長やウェルビーイングの機会、生徒の可能性や潜在能力に焦点をあてる。現在の学校教育においてもこの原理を既に取り入れたり、開発したりしている授業は存在する。その具体的な実践例であるポートフォリオは、日本の体育授業研究においても用いられ、評価の在り方について検討されてきた。そして、ポートフォリオにおける、文章や動画による学習の記録は、生徒の学びや成長、興味などを多角的に捉えることができること、教師、生徒、保護者間での共有によって、生徒は保護者の考え方や価値観に触れ、逆に保護者は体育の見方を変える機会となり得ることが実証されてきた。このような研究成果は、ガーゲンの「関係に基づく評価」が求めるものと共通しており、ガーゲンの教育評価論は体育授業へも応用可能であると言える。本報告では、上記の視点に加え、教師と生徒をひとつの単位として捉えていく、相互のより密接な対話や、他の教師や地域の人々などの多様な人々を対話に含めていくことで、生徒や教師、保護者などの評価の見方をどのように変えることを可能にするのかを報告する。

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