講演情報

[11教-口-08]体育授業における学習不安を抱える生徒のコミュニケーション

*樋口 和輝1、小田島 帆希1、中島 寿宏1 (1. 北海道教育大学教職大学院)
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体育授業は身体活動を伴うことから、他教科と比べて成功や失敗が形となり表出されやすい特徴がある。これまで体育学習において、失敗することへの不安感や恐怖心が、子どもたちの学習に大きな影響を与えていることが明らかになっている。村上(2022)は、体育授業の子どもの失敗について、関係性不安感の側面を報告しており、失敗することに対して、周囲の仲間が影響を与えていることがいえる。体育授業における成功や失敗が仲間に見えやすいという特徴が子どもたちの学習における不安に影響を与えている。しかし、体育授業において、子どもたちは仲間の動きを見ることや仲間とコミュニケーションをとることにより、学習を深めていき目標達成へと近づく。これまで体育授業における研究では、学習不安について子どもに焦点を当てて研究が進められてきたが、実際に学習不安を抱える子どもの体育授業でのコミュニケーションの状態について詳細に捉えた報告は乏しい。そこで本研究では、学習不安を抱える生徒の体育授業におけるコミュニケーションの様相を明らかにすることを目的とした。
 調査は、2024年5月末に札幌市内中学1年生を対象に実施した。質問紙調査は、体育の学習意欲を測定するAMPET短縮版(西田,2004)を使用した。学習不安の測定には、「緊張生不安」と「失敗不安」の2下位尺度、合計8項目を用いた。生徒には体育授業の中で対面検知データ解析システム((株)日立製作所)を装着させ、コミュニケーションの様相を測定した。結果として、失敗不安の高い生徒同士で強く影響をし合っていること、失敗不安の高い生徒の行動は複数の生徒から強い影響を受けていることが明らかになった。これらは、個人が抱く学習不安は授業場面において行動として表出され、同じく学習不安の高い仲間がその行動に反応して影響を受けていることが考えられる。

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