講演情報

[07発-ポ-12]幼児期における運動あそびが数の概念の習得に与える効果の検討早期教育の有無や違いに着目して

*樺澤 茉宝1、坂口 雄介2、村山 敏夫3 (1. 新潟大学大学院、2. 北陸大学、3. 新潟大学)
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【背景】
全ての学習の土台となる数の概念は幼児期に習得され、あそびの中で育まれていく。我々は現在、運動あそびで数の概念を習得する教育プログラムの開発を目指して研究を進めている。これまでに、数量的能力と体力・運動能力の関連を明らかにし、数の概念の習得には運動あそびが重要であることを示した。しかしながら、対象者の中には学習塾やスポーツ教室などの習い事(早期教育)を行っている者が存在し、このことが数の概念の習得に運動あそび以外の要因として影響しているのではないかと考える。
【目的】
幼児の数量的能力の習得には、運動あそびの他に早期教育が関与しているか否かを明らかにする。
【方法】
日常的に運動あそびを行う年長児(5~6歳児)54名を対象に、数量的能力の9項目(未測量の理解、集合づくり、一対一対応、数唱、計数、概括、抽出、系列化の思考、保存の概念)の測定を行い、総合得点を評価指標とした。また、その保護者には習い事の有無と種類についてのアンケート調査を行った。その結果をもとに、習い事をしていない群(運動あそび群)、学習塾に通う群(学習塾群)、スポーツ教室に通う群(スポーツ教室群)に分類した。このとき、総合得点を従属変数とした一元配置分散分析を用いて、運動あそびを行う幼児の習い事の有無や違いによる数量的能力の差を比較した。
【結果】
運動あそび群、学習塾群、スポーツ教室群のそれぞれにおいて、総合得点に有意な差は認められなかった。
【考察】
数の概念の習得は、計算をしたり数字を覚えたりする学習とは異なり、感覚的かつ本質的な数の理解を意味する。そのため、計算などの早期教育を受けることが必ずしも数の概念の習得に必要であるわけではないことが考えられる。
【結論】
早期教育は数の概念の習得に必要不可欠ではないという可能性が示されため、運動あそびによって数の概念を習得していく新たな教育の仕組みを構築していく必要がある。

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