講演情報
[11教-ポ-06]リズム系ダンスにおける学習者の認知内容の検討ダンス熟練者と非熟練者の視線と内省報告に着目して
*湯浅 理枝1、高田 康史1 (1. 広島文化学園大学)
本研究の目的は,リズム系ダンスを学習する際の学習者の着眼点を明らかにすることであった。これまで認知活動の多くは,学習者の振り返り記述等で確認してきたが,言語能力の未熟さにより記述内容にあらわれていない重要な気づきを捉えられていない可能性が指摘されていた。そのため,ダンス熟練者と非熟練者のダンス動画視聴時の視線計測を行い,客観的指標により両者の注視部位の特徴を確認することとした。加えて,どこをどのようにみていたかを尋ねるインタビュー調査を行うことにより,観察の意図をとらえようとした。視線と内省報告を対応づけ、熟練者と非熟練者の結果を比較することを通して,表現を発展させたり,拡張/修正させたりする際の着眼点について検討を行う。 結果,学習のためにダンス動画を視聴するとき,熟練者は各ダンサーのオリジナリティが発揮される動きに重要な役割を果たす肩まわりのアイソレーションの動きに着目していた。一方,非熟練者は体の中心部である腹を注視しながら,腕や足のおおまかな動きを捉えようとしていた。内省報告では,熟練者のみに一連の動きの中で観客に着目させたい動きや音楽やリズムをどのようにとらえて表現するかを模索する発話がみられた。これら熟練者と非熟練者の着眼点の違いから,ダンスやダンス学習を経験することにより,学習者は,基本の動きを試行したり,動きの一部を発展させたりするだけでなく,自身の作品の全体を俯瞰的に捉え,音と体の動きの同期を考慮しながら,その中で誇張して伝えたい動きを取り入れるという着眼点で学習を深めていることが考えられた。
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