講演情報
[11教-ポ-07]小学生を対象にした水への不安感の構造に関する研究
*金沢 翔一1、小島 大樹2、安田 純輝3、根本 想4 (1. 山梨大学、2. 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科、3. 札幌国際大学、4. 育英大学)
本研究は、児童の水への不安感の構造を明らかにすることを目的とした。予備調査として、山梨県内の小学校2校に在籍する児童398名に対して、「どのような時に水泳の授業でプールや水が嫌だな、苦手だなと感じますか」という質問文を提示し自由記述による回答を求めた。得られた自由記述の内容を文節単位で抽出し、20項目を選定した。本調査は、山梨県および東京都の8校の小学校において実施した。そのうち回答に不備などがあるものを除いた1846名を分析対象とした。フェイスシートでは、学年、性別に加え「水泳授業の好き嫌い」および「水泳授業への積極的な取り組み」について3件法で回答を求め、予備調査で選定した20項目について、4件法で回答を求めた。その結果、偏りがみられた3項目ならびに因子付加量が0.4未満の2項目を削除した。残された15項目について、因子分析を行ったところ2因子が示された。項目の特徴から第1因子は「溺水不安感」、第2因子は「直接的侵襲」とそれぞれ命名した。また各因子を構成する項目の内的一貫性を検討した結果、いずれの因子も0.7以上のα係数が算出された。次に各因子得点と「水泳授業の好き嫌い」および「水泳授業への積極的な取り組み」について1要因分散分析を行った。その結果、水泳授業の好き嫌いでは、「溺水不安感」、「直接的侵襲」において有意な差が認められ、各因子において「嫌い」、「どちらでもない」、「好き」の順に点数が有意に高かった。また、水泳授業への積極的な取り組みでは、「溺水不安感」、「直接的侵襲」において有意な差が認められ、各因子において「取り組んでいない」、「どちらでもない」、「取り組んでいる」の順に点数が有意に高かった。以上の結果から、児童の水への不安感は、「溺水不安感」、「直接的侵襲」で構成されており、水泳授業に対する感情や積極性と関連していることが明らかとなった。
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