講演情報

[11教-ポ-11]球技学習におけるルールの機能に関する一考察ゲーム構造との関連に着目して

*山崎 竜誠1、鈴木 理2、伊佐野 龍司2 (1. 日本大学大学院文学研究科教育学専攻(体育学コース)、2. 日本大学)
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近年の球技指導において,ルールがもつ「プレイ条件を浮き立たせる働き」(グリフィンほか,1999)は重要な視点である.なぜなら,その働きが導く「適切な動き方」の集積は,生徒のゲームパフォーマンス向上に大きく寄与すると期待されるからである.ここに着目して,特定の課題解決場面が頻出するようにルールを改変した下位教材を適用し,当該場面における「適切な動き方」の習得を図る,言うなれば「規制的ルール」の活用が,昨今のメインストリームとなっていることは周知のとおりである.しかしながら,ルールは「規制」に先行して,まずは「ゲーム=成否の不確定な試し合い」の存立基盤として機能してきた.これを踏まえると,規制に誘発される適切な動き方にもまして,その動き方を存立せしめているゲーム構造を念頭に置いた考察が必要である.そこで本研究は, 球技学習におけるルールの働きについて,「成否の未確定性」を担保するゲーム構造の視座から究明することを目的とした.目的達成のために,ルール並びに球技の指導内容に関する論考をレヴューし,上述の問題の論点を次のように整理した.➀ルールは人々によって取り決められる.その過程には,ゲームそのものを形づくる位相とゲームを変質・発展させる位相が見いだされる,②ルールは,情況やプレイヤーの主体的条件によって異なる働きを示す.以上の手続きを通じて,球技学習におけるルールは,生徒の課題(指導内容)と課題解決方法の許容範囲(ゲーム教材)をともに形づくるという,包括的な働きを有していると解された.このように,ゲーム構造からルールの働きへと着目することは,「ルールで,ボールをゴールに運ぶ課題と,手以外を用いるという制約を兼備するゲームを形づくる」ように,ルールが形づくる指導内容と学習活動との連関を堅固にすることに貢献する.

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