講演情報
[11教-ポ-16]器械運動授業における運動有能感および技の得意不得意の経時的変化大学生のマット運動の授業を対象として
*松長 大祐1、中井 聖1、殿村 美奈実1、松岡 咲綾1 (1. 大阪電気通信大学)
運動有能感は内発的動機づけの過程で重要な役割を果たしている。体育授業の中で自認が進み、運動に対して内発的に動機づけられれば、学習や運動の意欲が高まり、学習内容の習得の促進が期待できる。運動有能感に関して、授業進行および学習内容の進展に伴う経時的な変化については検討されてこなかった。そこで本研究では、大学の器械運動授業の全5回のマット運動の授業を対象とし、各回の授業時に受講学生に運動有能感および学習内容として含まれる技が得意か不得意か(以下、得意不得意度)の変化を調査した。大学生2年生男女67名に対して、接転系とほん転系の技を学習する授業を行い、各回の授業終了時に岡澤ほか(1996)の尺度を用いて運動有能感について、マット運動全体あるいは学習する各技の得意不得意度について5件法により回答してもらった。各回答は得点化し、中央値および四分位偏を求め、Friedman検定によって各授業回間の差を検討した。その結果、マット運動全体、学習する技全体の得意不得意度および運動有能感に有意差が見られ、その後の多重比較により、マット運動全体の得意不得意度では授業2回目と3回目および4回目の間、学習する技全体の得意不得意度では1回目と2回目、4回目と5回目の間を除く全ての授業回の間、受容感では1回目と4回目の間、運動有能感では1回目と4回目および5回目の間に差があった。これらのことは、調査対象者は、本研究の授業を通して、毎回の授業で学習する技全般に関して段階的に得意と感じるとともに、マット運動全体を得意に感じるようになる傾向、特定回の授業時に教員や仲間からの受容の自認が進み、運動有能感が向上する傾向があったことを示唆している。よって、本研究の授業は、内容自体が技の習得に一定の効果があり、受容感の向上が運動有能感の向上に幾分作用するが、学習への動機づけに関する働きは限定的であったと考えられた。
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