講演情報

[11教-ポ-17]共生社会実現を志向した小学校体育授業における一考察

*増野 紀一郎1、久保 研二1 (1. 島根大学大学院教育学研究科)
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小学校は多くの児童が共に学ぶ環境であり、学習上の困難を抱えている児童も多い状況である。特に、現代では多種多様な背景を持つ児童が増加し、児童が抱く困難さは多岐にわたっている。そのため、小学校は多様性理解を促し、様々な人が手を取り合う共生社会を実現するための出発点といえる。そのようななか、共生の視点を持ち、柔軟に教材開発をすることができる点は体育科の強みである。共生をテーマにした体育授業に関する事例は大学生を対象としたものが多く、小学校体育科における先行実践も複数あるものの、体育科の目標に準拠しているかについて疑義を抱かざるを得ない報告が散見される。そこで、本研究は、体育科で身に付けるべき資質・能力を育成しつつ、多様な他者が共に学び合える体育授業の開発を目的とする。 本研究では、小学校第5学年を対象にプレルボールを教材とした授業を実施した。プレルボールは戦術発揮がしやすいこと、ボール操作が比較的容易であることから、身に付けたい資質・能力の獲得に有効であると考え、本研究での題材とした。この授業の一部に、不利なチームが有利なチームに対してルール変更の要求を行うことのできるアダプテーションゲーム(村瀬・吉田、2021)を用いた。このルール変更の過程で児童の他者と共生する態度を育成したいと考える。さらに、ルール変更の選択肢を教師が予め用意することで、運動特性を変えることなく運動に取り組むことができる利点がある。また、梅澤ほか(2021)作成の「共生体育態度尺度」を用いて、授業実施前後における児童の体育授業での共生態度を調査した。加えて、児童の活動の様子を技能の向上および共生の場面を観察するデータとして映像で記録した。そこで、本発表では授業実践の状況、ならびに収集したデータから明らかになった成果及び、研究の課題を報告する。

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