講演情報

[11教-ポ-23]ボールゲームゴール型授業における生徒の運動有能感に関する実践的研究ゲームパフォーマンスに応じた生徒の感想記述に着目して

*冨岡 宏健1、大村 悠真2、齊藤 一彦3 (1. 広島大学人間社会科学研究科博士課程前期/広島大学附属三原中学校、2. 広島大学人間社会科学研究科博士課程前期、3. 広島大学)
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ボールゲームゴール型は,刻々と変化する状況の中で,生徒が何を学んでいるか把握することが難しいとされている。そのような中でも,生徒自身が何を学んでいるか,を自覚しているのかどうかを明らかにすることが必要である。他方,生徒が,できるようになった,と感じていても,実際のパフォーマンスに表れているかは不明瞭である。そのため,生徒が自覚した学びとゲームにおけるパフォーマンスを関連させて明らかにする必要性がある。そこで本研究は,中学校において実施されたボールゲームゴール型の実践において,単元終了後に生徒がどのようなことを「できるようになったこと」として捉えているのかを明らかにし,その学びがパフォーマンスに影響しているかを明らかにすることを目的にした。実施された単元は,サッカーを教材とし,ディスク型のボールを使用することで,二次元的な動きに限定し,生徒の動きを簡易化する工夫を行った。また,プレイヤーの人数を,3人対3人の少人数にすることで,状況判断を簡易化した。ゲームパフォーマンスは,GPAIから算出し,GPAIが1以上の上位群と1より小さい下位群に分け,生徒の自由記述を比較した。自由記述は,「単元を通して,できるようになったことを何ですか」という設問において記述された回答をテキストマイニングの手法を援用して分析を行った。その結果,下位群は,形容詞の項目において「(パスを)通しやすい」「(ボールを)止めやすい」といった技能に関する内容を多く記述する傾向がみられた。他方,上位群には,下位群に見られなかった「楽しい」「嬉しい」といった情意に関する形容詞がみられた。このことから,パフォーマンスによって,達成感を味わえているかどうかの質が異なることが明らかとなり,特にパフォーマンスが低い生徒には,技能的な達成度がゲームにどのように貢献するかを具体的に指導する必要性があると考えられる。

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