講演情報

[11教-ポ-25]特別支援学級の体育授業における言語的・非言語的コミュニケーションの様相

*小田島 帆希1、中島 寿宏2 (1. 北海道教育大学教職大学院、2. 北海道教育大学札幌校)
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現在,学校教育ではコミュニケーション力の育成が欠かせない課題である.コミュニケーション力の育成は,通常学級のみならず特別支援学級においても重視されている.特別支援学級の体育授業では,技能の向上やコミュニケーション・対人関係での変化,認知面での変化が主な成果として多く報告されている.しかし,東海林(2021)は,特別支援学級を対象とした先行研究の乏しさや,多くが実践の報告にとどまっていることを報告している.そこで本研究では,特別支援学級の体育授業においてコミュニケーションの実態を可視化させ授業改善のための情報を得ることを目的とした.
本調査は2024年4月17日に,札幌市内の特別支援学級に所属する中学生16名と教諭1名,非常勤講師2名の体育授業(50分間)を対象として実施された.本授業を実施した内容は「集団行動」である.調査内容は,授業中に対面検知データ解析システム(㈱日立製作所)を生徒達に装着してもらい,生徒・教師間のコミュニケーションの実態を測定した.今回の授業では3グループに分かれて行うグループ学習の形式で,それぞれのグループに教員が1名入るという形で進められた.
言語的コミュニケーションでは,教師が生徒同士を繋ぐ役割を果たしている結果となった.また,時間が経ち教師の関わりが薄くなったグループでは,最終的には2人ペアでコミュニケーションをとる傾向がある.非言語的コミュニケーションにおいては,教師は生徒の動きに合わせて行動している様子が見られた.また,生徒は誰か1人の生徒に影響される様子が見られた.本調査の結果から,生徒が少数から影響を受けたりコミュニケーションをとったりする傾向があると考えられる.時間経過とともに学習課題への意識が低下している可能性も考えられることから,教師は随時生徒へ学習課題を提示する必要があると示唆する.

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