講演情報

[11教-ポ-27]体育授業における回避的態度を規定する要因の検討運動・スポーツに対する得意・不得意に着目して

*當山 貴弘1 (1. 久留米大学)
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本研究では,体育授業における回避的態度を規定する要因について明らかにすることを目的とした.具体的には,運動・スポーツに対する得意・不得意に基づく群を構成し,学習環境の認知および運動有能感を独立変数,体育授業における回避的態度を従属変数とした重回帰分析(強制投入法)を,その群ごとに実施した.高校生193名(有効回答数155名)を対象に,体育授業における回避的態度として佐々木・須甲(2016)の体育授業における劣等コンプレックス尺度(C-運動スキル:運動技能の低さを理由とした回避的態度,C-心理・社会・身体要因:個人特性や環境等を理由とした回避的態度),伊藤ほか(2011)の学習環境の認知尺度(挑戦的環境:進歩や伸びが評価される学習環境,規範の欠如:社会的な規範が欠如している学習環境,脅威的環境:能力や結果で評価される学習環境),岡沢ほか(1996)の運動有能感尺度(身体的有能さの認知:運動が上手にできるという自信,統制感:練習や努力をすれば運動ができるようになるという自信,受容感:周囲から受け入れられているという自信),運動・スポーツに対する得意・不得意について調査を実施した.その結果,得意群および不得意群ともに,「身体的有能さの認知」と「C-運動スキル」の間に負の関係が確認され,その一方,「脅威的環境」と「C-運動スキル」の間に正の関係が示された.また得意群では,「身体的能さの認知」と「C-心理・社会・身体要因」の間に,負の関係が認められた.さらに不得意群において,「受容感」および「挑戦的環境」と「C-心理・社会・身体要因」の間に,負の関係が確認された.以上のことから,運動・スポーツに対する得意・不得意の違いによって「C-心理・社会・身体要因」を規定する要因が異なることが明らかとなった.

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