講演情報
[11教-ポ-30]様々な姿勢や呼吸を体験させる水遊びは水中環境での身体活動に未習熟な子どもの水慣れを促す
*豊田 郁豪1、原 英喜2,3、森山 進一郎2 (1. 東京学芸大学連合学校教育学研究科、2. 東京学芸大学、3. 國學院大学)
【背景】小学校の水泳授業において、1単元約10回の授業では成果が見られない児童を残したままにすることで、低学年の泳技能差が高学年の学習にも影響を及ぼすと考えられよう。そのため、水泳の技能を習得させるためには、水慣れから泳法習得までの段階的な指導が重要である。換言すると水慣れの指導を充実させることは、低学年期のみならず、その後の児童の水泳学習効果を高めることに資するだろう。【目的】本研究は、水中での身体活動に未習熟な子どもに対して水慣れを促すことを意図した指導を行い、その効果を明らかにすることを目的とした。【方法】参加者は、保護者もしくは本人より「水中での活動が苦手、水が怖い」と申告された子ども9名(6~9歳)であった。指導は1日1回、1時間の練習を3回行った。指導前に水に対する慣れの度合いを確認すべく、①5秒間の水中顔つけ、②プールの底から3回ジャンプ、③5秒間の伏し浮きを実施した。その後、水中で鼻から息が吐けるようになること、および水中から顔を出してすぐに呼吸ができるようになることを目指した水慣れ指導を実施した。ワニ歩きやフープくぐりなど水平位で顔に水が掛かることや、立位で垂直方向に顎、口、鼻から頭と順に体を沈めることを指導した。水中と陸上から指導の様子を撮影し、録画映像をもとに子どもたちの水慣れの変化を観察した。【結果および考察】指導前における、5秒間の水中顔つけは6名、プールの底から3回ジャンプは3名、そして5秒間の伏し浮きは8名がそれぞれできていなかった。さらに顔つけの際、鼻から息を吐くことができる者はいなかった。指導後は、参加者全員が水の中で動き回ること、ならびに鼻から息を吐くことができるようになった。以上より、様々な姿勢や呼吸を体験させる水遊びは、水中環境での身体活動に未習熟な子ども達の水中で体の操り方や呼吸の対処を改善させることが明らかとなった。
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