講演情報

[11教-ポ-32]中学校保健体育教師が有する長距離走に対する授業観とは?全国規模のアンケート調査による実態の把握

*齋藤 壮馬1、松本 佑介1、福田 健太郎2 (1. 大阪成蹊大学、2. 広島大学附属福山中・高等学校)
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授業観の形成は,教師の専門性の向上において,重要な役割を果たすとされる(成家ほか,2018).体育授業観とは,体育に関して教師がどのような授業を目指しているか,どのような授業を良い授業と考えているか,という考え方である(嘉数,2013;山平ほか,2020).他方で,体育授業観に関する先行研究では,各運動種目に対する授業観についてはほとんど検討されていない.その中で,体育授業で行われる持久走や長距離走は,児童生徒にとって不人気な運動種目の代表格であるといわれる(佐藤,2024).そこで,本研究では中学校保健体育教師が有する長距離走に対する授業観の実態を,全国規模のアンケート調査結果を基に明らかにすることを目的とする. 全国学校総覧2023年度版に基づき,全国の中学校等10,150校を都道府県別に層化し,乱数を用いて無作為抽出し(抽出率10.4%),1,064校を調査対象とした.調査方法については,郵送法による無記名自記式質問紙調査を採用した.主な調査項目としては,①「良い長距離走授業」をどのように考えているか,②その理由を自由記述で回答を求めた.得られた回答を,コーディングしてコードと位置付け,各コードの類似性に着目し,複数コードを包括するサブカテゴリーを生成した.さらにサブカテゴリーの上位に位置付くカテゴリーを生成し,カテゴリー数の比率を求めた. その結果,カテゴリーとしては,【態度】【技能】【楽しさ】【目標】【仲間】【結果】【生涯スポーツ】【体力】 の8カテゴリーが生成された.特に【態度】に関連する記述が全体の約30%を占め,多くの中学校保健体育教師は,生徒の態度に関連した長距離走に対する授業観を有していることが明らかとなった.【態度】のサブカテゴリーは<主体性>が最も多く,生徒が主体的に取り組む長距離走授業が良い授業と考えている教師が多いことが示された.

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