講演情報

[11教-ポ-36]同僚の模倣から捉える新任体育教師の成長過程

*黒木 恋1 (1. 明治学園中学高等学校)
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教師としての成長は、教授技術や知識、省察的態度等の獲得・形成に留まらず、体育科特有の立ち振る舞いにもある。所作や振る舞い等の日常的な身体運動は、教育や躾等により意識的につくり出していくものと、起こっていることがただ受け取られるだけで、気づくという自覚がないまま構成されるものがある(朝岡、2019)。日常の中で無自覚的に埋め込まれていく体育教師としての振る舞いが、学校生活に内在するどのような知覚的経験によって形成されていくのかを顕にすることは体育教師教育においても重要な視点である。以上の背景から、小学校体育専科の新任教師として着任した自身の1年間の省察記録を現象学的に解釈することを試みた。本研究については、新任体育教師の成長過程の一つとして「同僚と児童が関わる姿を知覚し、模倣する」という知覚的経験が顕在化したことを報告している(黒木ほか、2022a)。さらに、これらの同僚に対する知覚的経験が生じるのも、体育科の中でも複数の授業スタイルや価値観が異なる「サブコミュニティ」の存在を知覚したためであった。そこからコミュニティが<私>に何を求めているのかを汲み取り、コミュニティが理想とする授業や、コミュニティの意向を児童に代弁する等の「コミュニティメンバーとしての実践」を行うことが「同僚からの承認」を得るための仕組みとして内在していたと報告している(黒木ほか、2022b)。しかし、同僚の指導に対する知覚的経験や模倣について言及したが、その詳細は滞っていた。
 新任体育教師が同僚の振る舞いを知覚し、模倣する過程を開示することは、新任体育教師の成長に関与する同僚性の在り方についての検討にも貢献できるだろう。以上を踏まえ本研究の目的は、自身の省察記録から「新任体育教師が同僚の振る舞いを知覚し、模倣する過程」を解釈することである。なお、この詳細及び体育教師教育への言及等は、当日報告する。

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