講演情報

[11教-ポ-40]大学教員の力量形成の方法に関する研究体育科模擬授業の観察内容及び分析枠組みに着目して

*村井 潤1 (1. 武庫川女子大学)
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これまでの体育科模擬授業の研究は、教師を目指す学生に、どのような力量をどのような方法で身につけさせるかに焦点が当てられてきた。特に、近年では授業を改善するための「省察」を行う力量を、いかにして身につけさせるかを焦点とした研究が行われてきた。しかし、これらの研究においては、学生を指導する大学教員には焦点が当てられておらず、その指導力量の向上という観点は見られない。そこで、本研究は模擬授業を指導する大学教員の力量形成のための方法を検討することを目的とした。
 研究の方法は、まず、事例の大学教員に学生の模擬授業を、「事実の提示」「良い点」「改善点」「自分(大学教員)の考え」という4つの観点で観察させ、その内容を記述させた。次に、それぞれの記述を「優先度」と「難易度」という観点から分析したうえで、記述を帰納的に分類し、大学教員の観察内容・分析枠組みを明らかにした。そして、これらの活動が、大学教員の模擬授業の観察内容や分析枠組みの理解にどのような影響を与えるのかについて検討した。
 研究の結果、事例の大学教員は、観察内容を観察内容の良し悪しとして記述するよりも、観察内容についての「自分の考え」として記述する傾向にあった。また、模擬授業の観察内容・分析枠組みとして、大学生としての特徴、教師役の活動、学習者役の特徴、大学教員自身の教材解釈や教育観といった項目があげられたが、特に教師役の活動にかかわる内容を大学生にとって優先度が高い内容であると認識していた。この一連の研究過程を通して、大学教員自身の体育科授業に関わる知識や分析枠組みの自覚が促されたと考えられた。ただし、研究の方法上、大学教員にとって「新たな発見」が得られにくいと考えられることから、帰納的な分類の実施方法についてさらなる検討が必要であると考えられた。

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