講演情報
[03心-ポ-33]ICTを活用したマット運動の授業における学習方法の実施順序による心理的効果教員養成課程の大学生を対象とした授業実践
*松浦 佑希1、伊佐 義史2、松岡 弘樹、坂入 洋右3 (1. 宇都宮大学 共同教育学部、2. 沖縄県立総合教育センター、3. 常葉大学 教育学部)
器械運動において技ができるようになる楽しさを体験させるには、学習者の技能レベルに合った技や目標を提示することが重要である(水島,2004)。そこで、松浦ほか(2018;2022)が検討した感覚経験型とモデル習得型の2種類の学習方法を活用し、学習者個人が練習したい技について各自のペースで学習を進めることが可能なICT教材を開発した。本ICT教材は、各技について2種類の学習方法から好みの方法を選択して学習を進めることが可能であるが、本研究では各学習方法の実施順序による技能および心理的効果について検討を行った。対象者は教員養成課程の大学1年生であり、21名を2群に分けた(感覚経験先行群12名、モデル習得先行群9名)。全7回の指導は器械運動の授業を担当する教員が行い、各群で1、2回目、3、4回目で学習方法を入れ替え、5~7回目はいずれの群も学習方法を自由に選択してマット運動の技の練習を実施し、学習に対する楽しさや練習中の身体感覚、技能の上達度に対する自己評価の変化などを検討した。その結果、それぞれの学習方法の心理的効果の特徴として、感覚経験型の学習実施時に楽しさが高まり、他者からの視線が気にならなくなるという効果が得られた一方で、上達度に対する自己評価が低下した。これは、技の達成に対する基準が不明瞭であることが影響していると考えられ、一方のモデル習得型の学習では、技の達成基準が明確であるため、感覚経験型の学習からモデル習得型の学習に移行した際に技の上達度に対する自信が向上した。技能レベルについては、どちらの群も授業で求められていた水準を達成し、同程度の技能の高まりが見られた。これらの結果から、2種類の学習方法を組み合わせて実施する場合は、感覚経験型の学習を先に実施して活動に対する楽しさを高め、その後にモデル習得型の学習を実施して技の上達を実感させる順序が効果的であると考える。
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