講演情報

[O-1-1]健常成人における歩行時最大足底圧に影響を与えるパラメーターについて

*金刺 修平1、鈴木 啓介2 (1. JCHO湯河原病院、2. 岐阜保健大学 リハビリテーション学部)
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キーワード:

最大足底圧、歩行速度

【はじめに、目的】糖尿病(Diabetes mellitus : DM)足潰瘍のリスク因子に、歩行時の足底圧異常が挙げられている。DM患者における足底潰瘍の好発部位としては、母趾・1-5中足骨部・中足部・踵部の足底面といわれている。ただ各好発部位に潰瘍が発生する原因因子は明らかになっていない。今回健常成人において最大足底圧に影響を及ぼす因子として歩行の要素が影響するのか、体型的な要素が影響するのかを明らかにすることを目的とした。

【方法】対象は健常成人80名とした。評価指標のうち、形態計測では身長、体重、足長、足幅、アーチ高率を評価し、歩行のパラメーターは歩行速度、歩幅とした。最大足底圧はインソール型足圧計を用いて左右共に潰瘍の生じやすい部位である母趾、母趾球、踵部の3か所を指標とした。なお、歩行のパラメーターと最大足底圧は、履き慣れた靴を履き、自己選択速度による10m歩行テストを3回実施し、その平均値を算出した。統計学的解析として各評価指標と最大足底圧の相関分析と、従属変数を左右の最大足底圧、独立変数を身長、体重、足長、足幅、アーチ高率、歩行速度、歩幅の7項目として重回帰分析を実施した。各解析の有意水準は危険率5%とした。

【結果】相関分析では、右足母趾の最大足圧は身長と負の相関(r = -0.345)、歩行速度と正の相関(r = 0.345)を示し、左右間で強い対称性(r = 0.757)が認められた。重回帰分析では、右足母趾部で歩行速度・足幅・身長が予測因子(調整済みR² = 0.296)、左足母趾部でも同様の因子が抽出された(調整済みR² = 0.186)。母指球部は足幅の影響が主で、踵部では身長(右足)または体重・アーチ高率・足長(左足)が重要な予測因子となった。

【結論】母趾部では歩行速度による影響があり、母趾球、踵部では身体的な要因が影響している結果となった。先行研究では背屈制限等異常が生じると足圧高値部が前足部、中足部に変化が出てくることが報告されている。DM患者のように足関節の背屈制限が生じやすく、足潰瘍リスクがある場合の診療場面では母趾への適切な足圧がかかるよう歩行速度を保つ、Push Offが可能な状態かを適宜評価することが必要と考える。また母趾球、踵に関してはⅡ型DMに多い肥満患者ではより注意深い観察、ケアが必要となることが示唆される。

倫理的配慮:
【倫理的配慮】

本研究は岐阜保健大学倫理委員会の承認を得て実施した(倫理番号:202311)。

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