講演情報
[O-3-2]血液透析患者のサルコペニア肥満が1年後の身体機能低下に与える影響:REPnet-HD study
*小島 将1,2、臼井 直人1,2、篠崎 信人3,2、白井 信行4,2、岡村 大介5,2、佐藤 陽一6,2、肥留川 隼7,2、野地 剛史8,2、河西 利昌9,2、齊藤 正和10,2 (1. 嬉泉病院 リハビリテーション科、2. Renal Exercise and Physical activity network(REPnet)、3. 東葛クリニック病院 医療技術部リハビリ科、4. 新潟臨港病院 リハビリテーション科、5. 聖路加国際病院 リハビリテーション科、6. 魚沼基幹病院 リハビリテーション技術科、7. 上尾中央総合病院 リハビリテーション技術科、8. 小田原循環器病院 心臓リハビリテーション室、9. 石和共立病院 回復期リハビリテーション室、10. 順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科)
キーワード:
血液透析、サルコペニア肥満、身体機能低下
【はじめに、目的】
サルコペニアは身体機能低下を引き起こす要因の一つだが,サルコペニアと肥満が併存した状態であるサルコペニア肥満が血液透析(HD)患者の身体機能低下に与える影響は不明である.本研究はHD患者のサルコペニア肥満と1年後の身体機能低下の関連を調査することを目的とした.
【方法】
本研究は2021年1月~2024年1月までに12施設で多施設共同前向きコホート研究(REPnet-HD study)に登録された患者の内,1年後評価が可能だった患者を対象とした.身体機能はShot Physical Performance Battery(SPPB)で評価し,ベースラインから1年後評価でSPPBが1点以上低下した場合を身体機能低下と定義した.サルコペニア肥満は,ESPEN/EASOコンセンサスステートメントに基づき,筋力低下(握力:男性<28kg,女性<18kg),筋肉量低下(四肢骨格筋量/体重:男性<38.2%,女性<32.2%),体脂肪率増加(体脂肪量/体重:男性>29%,女性>41%)で定義し,正常,肥満,サルコペニア,サルコペニア肥満の4つにグループ分けした.身体機能低下とサルコペニア肥満の関連は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価し,従属変数を身体機能低下,独立変数をグループ(正常群を参照としてダミー変数化),共変量を年齢,性別,透析歴,既往・併存疾患(糖尿病,心血管疾患),国際標準化身体活動質問票で評価した総身体活動量,座位行動時間,ベースライン時のSPPB得点とした.
【結果】
295名(年齢中央値70歳,女性123名)が解析対象となった.サルコペニア肥満の有病率は16%だった.身体機能低下は正常群で20%,肥満群で22%,サルコペニア群で35%,サルコペニア肥満群で48%と群間で有意差があった(P = 0.001).単変量解析ではサルコペニアとサルコペニア肥満が身体機能低下と関連したが,多変量解析ではサルコペニア肥満のみが身体機能低下と有意に関連した(オッズ比 3.11,95%信頼区間 1.37–7.06,P = 0.007).
【結論】
HD患者のサルコペニア肥満は1年後の身体機能低下に関連することが明らかになった.サルコペニア肥満を有するHD患者は,潜在的な身体機能低下リスクがあり,早期から予防的な取り組みを行う必要があることが示唆された.
倫理的配慮:
本研究は順天堂大学(承認番号:2020-2-001)および各研究施設の倫理委員会に承認され,大学病院医療情報ネットワークセンター(UMIN000050089)に登録された.また,全参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得て実施された.
サルコペニアは身体機能低下を引き起こす要因の一つだが,サルコペニアと肥満が併存した状態であるサルコペニア肥満が血液透析(HD)患者の身体機能低下に与える影響は不明である.本研究はHD患者のサルコペニア肥満と1年後の身体機能低下の関連を調査することを目的とした.
【方法】
本研究は2021年1月~2024年1月までに12施設で多施設共同前向きコホート研究(REPnet-HD study)に登録された患者の内,1年後評価が可能だった患者を対象とした.身体機能はShot Physical Performance Battery(SPPB)で評価し,ベースラインから1年後評価でSPPBが1点以上低下した場合を身体機能低下と定義した.サルコペニア肥満は,ESPEN/EASOコンセンサスステートメントに基づき,筋力低下(握力:男性<28kg,女性<18kg),筋肉量低下(四肢骨格筋量/体重:男性<38.2%,女性<32.2%),体脂肪率増加(体脂肪量/体重:男性>29%,女性>41%)で定義し,正常,肥満,サルコペニア,サルコペニア肥満の4つにグループ分けした.身体機能低下とサルコペニア肥満の関連は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価し,従属変数を身体機能低下,独立変数をグループ(正常群を参照としてダミー変数化),共変量を年齢,性別,透析歴,既往・併存疾患(糖尿病,心血管疾患),国際標準化身体活動質問票で評価した総身体活動量,座位行動時間,ベースライン時のSPPB得点とした.
【結果】
295名(年齢中央値70歳,女性123名)が解析対象となった.サルコペニア肥満の有病率は16%だった.身体機能低下は正常群で20%,肥満群で22%,サルコペニア群で35%,サルコペニア肥満群で48%と群間で有意差があった(P = 0.001).単変量解析ではサルコペニアとサルコペニア肥満が身体機能低下と関連したが,多変量解析ではサルコペニア肥満のみが身体機能低下と有意に関連した(オッズ比 3.11,95%信頼区間 1.37–7.06,P = 0.007).
【結論】
HD患者のサルコペニア肥満は1年後の身体機能低下に関連することが明らかになった.サルコペニア肥満を有するHD患者は,潜在的な身体機能低下リスクがあり,早期から予防的な取り組みを行う必要があることが示唆された.
倫理的配慮:
本研究は順天堂大学(承認番号:2020-2-001)および各研究施設の倫理委員会に承認され,大学病院医療情報ネットワークセンター(UMIN000050089)に登録された.また,全参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得て実施された.
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