講演情報
[O-3-4]血液透析患者における基本チェックリストを使用した短縮版転倒リスク評価スケールの構築: REPnet-HD Study
*白井 信行1,2、臼井 直人2,3、小島 将2,3、篠崎 信人2,4、岡村 大介2,5、佐藤 陽一2,6、三上 健太2,7、河西 利昌2,8、島野 優2,9、齊藤 正和2,10 (1. 新潟臨港病院 リハビリテーション科、2. Renal Exercise and Physical activity network(REPnet)、3. 嬉泉病院 リハビリテーション科、4. 東葛クリニック病院医療技術部リハビリ課、5. 聖路加国際病院 リハビリテーション科、6. 魚沼基幹病院 リハビリテーション技術科、7. 岩槻南病院 心臓リハビリテーション科、8. 石和共立病院 回復期リハビリテーション室、9. 埼友クリニック リハビリテーション部、10. 順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科)
キーワード:
血液透析、転倒、基本チェックリスト
【はじめに、目的】血液透析(HD)患者は転倒リスクが高い。フレイル評価にも用いられる基本チェックリスト(KCL)はHD患者の転倒予測に有用とされるが、25項目と時間や労力を要するため、臨床での活用には簡便かつ精度の高い評価スケールが求められる。本研究では、HD患者の転倒リスクを効率的にスクリーニングできる短縮版KCLの構築を目的とした。
【方法、あるいは症例】9施設で前向きコホート研究を実施した。KCL評価後1年間転倒を追跡し、参加者を開発サンプルと検証サンプルに分けた。開発サンプルにおいてロジスティック回帰分析を用い、転倒と関連するKCL項目を抽出して、各項目のオッズ比(OR)を加算する形で短縮版KCLを作成した。次に検証サンプルにて、短縮版KCLの転倒の予測力を受信者動作特性 (ROC) 曲線下の領域 (AUC) を使用して決定した。その後、通常版KCLでも同様の解析を行い、短縮版KCLと通常版KCLのAUCを比較した。最後にROC解析にて、Youden indexを用いて転倒を予測する短縮版KCLのカットオフ値を決定した。
【結果】HD患者403名【年齢70.0 (60.0 – 76.0) 歳、女性170名 (42.1%)】を解析した。1年間で117名(29.0%)が転倒した。開発サンプル(303名)にて、調整されたロジスティック回帰分析により転倒と有意に関連した5項目【Q6.手すりなしでの階段昇降 (OR 2.3)、Q9.過去1年の転倒歴 (OR 3.1)、Q10.歩行時の転倒恐怖感 (OR 2.3)、Q20.日付の認識 (OR 2.1)、Q24.役に立たないと感じた経験 (OR 2.2)】を抽出し、各項目のORを基に0 –12点で構成される短縮版KCLを作成した。検証サンプル(100名)での短縮版KCLのAUCは0.75(95%CI 0.65–0.85)であり、通常版KCL(AUC 0.70, 95%CI 0.59–0.81)と比較して有意差はなかった(p=0.39)。転倒に対するカットオフ値は4.6点で、感度77.8%、特異度38.4%を示した。
【結論】短縮版KCLは通常版と同等の転倒予測精度を示しつつ、評価項目を大幅に削減でき、臨床現場での実用性が高い。特異度が低く過剰診断の懸念は残るものの、転倒リスクの高いHD患者を効率的に抽出し早期介入につなげる有用なスクリーニングツールとなる可能性がある。
倫理的配慮:
研究プロトコルは、2013年に改訂された1975年のヘルシンキ宣言に準拠した。承認は順天堂大学の倫理委員会(承認番号20-017)によって付与され、その後すべての施設で倫理審査を受けた。また、University Hospital Medical Information Network Center (UMIN ID:00005008937956)にも登録済みである。すべての患者には書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【方法、あるいは症例】9施設で前向きコホート研究を実施した。KCL評価後1年間転倒を追跡し、参加者を開発サンプルと検証サンプルに分けた。開発サンプルにおいてロジスティック回帰分析を用い、転倒と関連するKCL項目を抽出して、各項目のオッズ比(OR)を加算する形で短縮版KCLを作成した。次に検証サンプルにて、短縮版KCLの転倒の予測力を受信者動作特性 (ROC) 曲線下の領域 (AUC) を使用して決定した。その後、通常版KCLでも同様の解析を行い、短縮版KCLと通常版KCLのAUCを比較した。最後にROC解析にて、Youden indexを用いて転倒を予測する短縮版KCLのカットオフ値を決定した。
【結果】HD患者403名【年齢70.0 (60.0 – 76.0) 歳、女性170名 (42.1%)】を解析した。1年間で117名(29.0%)が転倒した。開発サンプル(303名)にて、調整されたロジスティック回帰分析により転倒と有意に関連した5項目【Q6.手すりなしでの階段昇降 (OR 2.3)、Q9.過去1年の転倒歴 (OR 3.1)、Q10.歩行時の転倒恐怖感 (OR 2.3)、Q20.日付の認識 (OR 2.1)、Q24.役に立たないと感じた経験 (OR 2.2)】を抽出し、各項目のORを基に0 –12点で構成される短縮版KCLを作成した。検証サンプル(100名)での短縮版KCLのAUCは0.75(95%CI 0.65–0.85)であり、通常版KCL(AUC 0.70, 95%CI 0.59–0.81)と比較して有意差はなかった(p=0.39)。転倒に対するカットオフ値は4.6点で、感度77.8%、特異度38.4%を示した。
【結論】短縮版KCLは通常版と同等の転倒予測精度を示しつつ、評価項目を大幅に削減でき、臨床現場での実用性が高い。特異度が低く過剰診断の懸念は残るものの、転倒リスクの高いHD患者を効率的に抽出し早期介入につなげる有用なスクリーニングツールとなる可能性がある。
倫理的配慮:
研究プロトコルは、2013年に改訂された1975年のヘルシンキ宣言に準拠した。承認は順天堂大学の倫理委員会(承認番号20-017)によって付与され、その後すべての施設で倫理審査を受けた。また、University Hospital Medical Information Network Center (UMIN ID:00005008937956)にも登録済みである。すべての患者には書面によるインフォームドコンセントを提供した。
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