講演情報
[P-1-1]姿勢改善による動機づけが運動習慣確立に寄与した糖尿病高齢者の一例
*佐藤 亜希菜1,2、朝倉 太郎1,2、金城 瑞樹1,2 (1. 医療法人優雅 鶴間かねしろ内科クリニック、2. 医療法人優雅 東林間かねしろ内科クリニック)
キーワード:
糖尿病運動療法、姿勢改善、高齢者運動習慣化
【はじめに、目的】
糖尿病患者における運動療法は血糖コントロールや身体機能維持に有用だが、高齢者では運動への抵抗感から習慣化が困難な例も多い。 運動抵抗感を有していた患者が、姿勢改善を通じて身体的自信を獲得し、運動習慣の確立に至った一例を報告する。
【方法、あるいは症例】
80代男性、2型糖尿病、運動習慣なし。平均歩数は約4,000歩。抗重力筋低下により体幹軽度前傾・円背・股関節および膝関節軽度屈曲といった非効率的立位姿勢を呈し、易疲労性を認めた。 2024年5月に初回評価を実施。骨格筋率は生体電気インピーダンス法(BIA法)、膝伸展筋力は等尺性筋力測定器(μTasF-1)を用いて測定し、相対筋力として評価した。骨格筋率は上肢34.3%、体幹19.6%、下肢44.7%、膝伸展筋力は右22%、左24%を示した。動作面ではTimed Up and Go test (TUG)は23.0秒、20分連続歩行の自覚的疲労度はBorg 14に該当。行動変容ステージは準備期に該当。以降1年間、週1回50分間の運動療法を実施。抗重力筋強化、呼吸・胸郭ストレッチを実施した。3か月目から有酸素運動やバランストレーニングを追加。7か月目以降は週1~2回、筋力トレーニングやウォーキングを自主的に追加した。
【結果】
1年後、骨格筋率は上肢+2.9%、体幹+14.3%、下肢+7.8%と改善を認めた。膝伸展筋力では右+3%、左+2%と改善を認めた。抗重力筋の改善により、体幹前傾の軽減と骨盤前傾、股関節および膝関節の軽度伸展がみられ、姿勢変化から重心制御の改善が示唆された。更に動作面では、TUGは18.6秒、連続歩行での自覚的疲労度はBorg 12に改善。動作の安定性と疲労感軽減に繋がった。その結果、平均歩数は約5,750歩に増加、徒歩での外出頻度増加に繋がった。現在は週3回の自主的運動と週1回の当院運動療法が習慣となり、行動変容ステージは維持期に改善した。
【結論】
姿勢改善により得られた自覚的変化・他覚的変化が成功体験となり、運動への抵抗感が軽減した。更に視覚的な変化が動機付けとなることで行動変容が促され、運動習慣確立に繋がったと考えられる。
倫理的配慮:
本症例はヘルシンキ宣言に則り、個人情報に配慮し、患者本人より文書と口頭にて同意を得た。
糖尿病患者における運動療法は血糖コントロールや身体機能維持に有用だが、高齢者では運動への抵抗感から習慣化が困難な例も多い。 運動抵抗感を有していた患者が、姿勢改善を通じて身体的自信を獲得し、運動習慣の確立に至った一例を報告する。
【方法、あるいは症例】
80代男性、2型糖尿病、運動習慣なし。平均歩数は約4,000歩。抗重力筋低下により体幹軽度前傾・円背・股関節および膝関節軽度屈曲といった非効率的立位姿勢を呈し、易疲労性を認めた。 2024年5月に初回評価を実施。骨格筋率は生体電気インピーダンス法(BIA法)、膝伸展筋力は等尺性筋力測定器(μTasF-1)を用いて測定し、相対筋力として評価した。骨格筋率は上肢34.3%、体幹19.6%、下肢44.7%、膝伸展筋力は右22%、左24%を示した。動作面ではTimed Up and Go test (TUG)は23.0秒、20分連続歩行の自覚的疲労度はBorg 14に該当。行動変容ステージは準備期に該当。以降1年間、週1回50分間の運動療法を実施。抗重力筋強化、呼吸・胸郭ストレッチを実施した。3か月目から有酸素運動やバランストレーニングを追加。7か月目以降は週1~2回、筋力トレーニングやウォーキングを自主的に追加した。
【結果】
1年後、骨格筋率は上肢+2.9%、体幹+14.3%、下肢+7.8%と改善を認めた。膝伸展筋力では右+3%、左+2%と改善を認めた。抗重力筋の改善により、体幹前傾の軽減と骨盤前傾、股関節および膝関節の軽度伸展がみられ、姿勢変化から重心制御の改善が示唆された。更に動作面では、TUGは18.6秒、連続歩行での自覚的疲労度はBorg 12に改善。動作の安定性と疲労感軽減に繋がった。その結果、平均歩数は約5,750歩に増加、徒歩での外出頻度増加に繋がった。現在は週3回の自主的運動と週1回の当院運動療法が習慣となり、行動変容ステージは維持期に改善した。
【結論】
姿勢改善により得られた自覚的変化・他覚的変化が成功体験となり、運動への抵抗感が軽減した。更に視覚的な変化が動機付けとなることで行動変容が促され、運動習慣確立に繋がったと考えられる。
倫理的配慮:
本症例はヘルシンキ宣言に則り、個人情報に配慮し、患者本人より文書と口頭にて同意を得た。
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