講演情報
[P-1-3]大腿骨近位部骨折患者における糖尿病の有無が股関節外転筋力に与える影響について
*藤川 祥樹1、長棟 有希1、西田 崇人2 (1. 愛知県済生会リハビリテーション病院、2. 星城大学 リハビリテーション学部)
キーワード:
糖尿病、大腿骨近位部骨折、股関節外転筋力
【はじめに、目的】
糖尿病(以下,DM)患者では,加齢,身体活動量,DM合併症と筋力低下が関連すると広く知られている. 大腿骨近位部骨折(Hip Fracture:以下HF)患者の歩行再獲得には股関節外転筋力が必要とされるが,DMを合併している患者は筋力の回復が遅延することが推察される.しかし,これまでの研究においてDMを合併したHF術後患者を対象にした筋力の回復過程を縦断的に追った報告は少なく,その実態は明らかとなっていない.そこで,DMの有無がHF術後患者の股関節外転筋力の回復過程に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
2022年7月から2024年8月までにHFを受傷し入院した患者のうち,既往に中枢神経疾患を有する者,口頭指示理解困難な者,受傷前から歩行困難な者,同意を得られなかった者を除外した.対象者81名のうち年齢,性別を共変量とした傾向スコアマッチングを実施しDM患者,非DM患者12名ずつを解析対象とした.全ての対象者は退院時までの入院期間を通じて,1日2~3回,各60分間の理学療法介入を継続的に実施した.筋力の測定は μTasMF-01 (アニマ社製)を用いて左右の股関節外転筋力,膝関節伸展筋力を入院時,30日経過,退院時の計3回測定した.統計解析は群と時間の要因について二元配置分散分析を用いて比較した.有意水準は5%とした.
【結果】
時期の要因は受傷側の股関節外転,膝関節伸展において入院時と30日経過,退院時にかけて時間の経過とともに有意な筋力の向上を認めた.非受傷側については入院時と退院時の間のみ有意に筋力が向上していた.群の要因や交互作用については股関節外転,膝関節伸展ともに有意な差を認められなかった.歩行能力については歩行速度,TUG,FACにおいて2群間に有意な差は認められなかった.
【結論】
本研究においては,DMの有無にかかわらず,股関節外転筋力および膝関節伸展筋力はHF術後に経時的に有意な回復を示した.DM患者では,インスリン抵抗性に伴う筋タンパク質合成の低下により,筋力の向上が遅延することが先行研究から予想されていたが,本研究ではDMの有無による差異は認められなかった.この結果は,適切な理学療法による介入が,DM患者においても筋力の回復を促進し得る可能性を示唆している.
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施され,対象者には口頭にて説明し,書面にて同意を得た.また,研究実施施設の倫理委員会の承認(承認番号202203)を得て実施された.
糖尿病(以下,DM)患者では,加齢,身体活動量,DM合併症と筋力低下が関連すると広く知られている. 大腿骨近位部骨折(Hip Fracture:以下HF)患者の歩行再獲得には股関節外転筋力が必要とされるが,DMを合併している患者は筋力の回復が遅延することが推察される.しかし,これまでの研究においてDMを合併したHF術後患者を対象にした筋力の回復過程を縦断的に追った報告は少なく,その実態は明らかとなっていない.そこで,DMの有無がHF術後患者の股関節外転筋力の回復過程に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
2022年7月から2024年8月までにHFを受傷し入院した患者のうち,既往に中枢神経疾患を有する者,口頭指示理解困難な者,受傷前から歩行困難な者,同意を得られなかった者を除外した.対象者81名のうち年齢,性別を共変量とした傾向スコアマッチングを実施しDM患者,非DM患者12名ずつを解析対象とした.全ての対象者は退院時までの入院期間を通じて,1日2~3回,各60分間の理学療法介入を継続的に実施した.筋力の測定は μTasMF-01 (アニマ社製)を用いて左右の股関節外転筋力,膝関節伸展筋力を入院時,30日経過,退院時の計3回測定した.統計解析は群と時間の要因について二元配置分散分析を用いて比較した.有意水準は5%とした.
【結果】
時期の要因は受傷側の股関節外転,膝関節伸展において入院時と30日経過,退院時にかけて時間の経過とともに有意な筋力の向上を認めた.非受傷側については入院時と退院時の間のみ有意に筋力が向上していた.群の要因や交互作用については股関節外転,膝関節伸展ともに有意な差を認められなかった.歩行能力については歩行速度,TUG,FACにおいて2群間に有意な差は認められなかった.
【結論】
本研究においては,DMの有無にかかわらず,股関節外転筋力および膝関節伸展筋力はHF術後に経時的に有意な回復を示した.DM患者では,インスリン抵抗性に伴う筋タンパク質合成の低下により,筋力の向上が遅延することが先行研究から予想されていたが,本研究ではDMの有無による差異は認められなかった.この結果は,適切な理学療法による介入が,DM患者においても筋力の回復を促進し得る可能性を示唆している.
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施され,対象者には口頭にて説明し,書面にて同意を得た.また,研究実施施設の倫理委員会の承認(承認番号202203)を得て実施された.
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