講演情報

[P-1-6]高齢ネフローゼ症候群患者に対する早期リハビリテーションの有用性~1症例を通じて~

*加藤 翔悟1、三嶽 侑哉1、田畑 吾樹1、大野 隼太1 (1. 聖隷佐倉市民病院)
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キーワード:

原発性ネフローゼ症候群、ステロイド治療、運動療法

【はじめに、目的】
高齢ネフローゼ症候群(NS)患者は,入院に伴う廃用やステロイド筋症により身体機能低下のリスクが高い.しかし,ガイドライン上では寛解前の患者に安静が推奨されることが多く,特に急性期高齢患者への運動療法の安全性および効果は十分に検討されていない.今回,急性期の高齢NS患者に対し早期から運動療法を導入した症例を経験したため報告する.
【方法、あるいは症例】
80歳代男性.入院前ADLは自立.既往歴は尿管結石,憩室炎,胆石,白内障,気管支喘息,前立腺肥大であった.20XX年Y月より両下肢浮腫,尿蛋白悪化が見られ,当院受診,腎生検施行後,Y月Z日NSの診断となった.Z+33日に入院し,プレドニゾロン(PSL)15mg/day開始.理学療法はZ+34日より開始となった.
【結果】
腎機能はBUN17→17mg/dL,Cr0.93→0.96mg/dL,eGFR59.7→57.7,尿蛋白4.5→4.6g/dayと腎機能の増悪なく経過.身体機能はSPPB12→12点,握力28.4→29.4kg,歩行速度1.27→1.77m/sec,膝伸展筋力0.61→0.61kgf,6分間歩行距離480→500m,SMI8.9→9.7kg/m²と全項目で維持する結果となった.
【結論】
先行研究では,運動中の蛋白尿は一過性に上昇するが,運動後は運動前のレベルに低下したと報告されている,また,保存期CKD患者に対する中等度運動はeNOS産生増加や糸球体高血圧改善により腎保護効果を示すと報告がされている,本症例においても中等度負荷の運動療法により腎機能悪化を認めず,身体機能の維持に繋がったと考える.急性期高齢NS患者においても,中等度の運動療法を安全に実施できる可能性が示唆された.

倫理的配慮:
本発表につき書面にて患者に同意を得た

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