講演情報
[P-3-4]劇症1型糖尿病患者に対して糖尿病教育を実施した1例
~疾病受容から自己管理獲得までの経過~
*松山 卓也1、吉田 美由紀1、久保 典代2 (1. 大阪府済生会千里病院 リハビリテーション部、2. 大阪府済生会千里病院 糖尿病内科)
キーワード:
劇症1型糖尿病、疾病受容、自己管理
【はじめに】劇症1型糖尿病は1型全体の約20%と発症率が低い.発症5年後の糖尿病慢性合併症は,自己免疫性1型糖尿病に比べ有意に高い為,厳格な血糖管理が必要とされる.1型糖尿病の血糖管理に運動療法が有効というエビデンスはないが,心血管の危険因子を改善させるために推奨されている.今回,劇症1型糖尿病の糖尿病教育を実施した1例を経験した.以下に疾病受容から自己管理獲得までの経過を報告する.
【症例】80歳代,男性.BMI16.7.既往歴は高血圧,高尿酸血症.入院前ADL自立,活動量1万歩/日,職業は薬剤師.妻が糖尿病で食事や運動に気遣っていた.現病歴は5日前より食欲不振あり.高血糖救急症を発症して入院となった.血液検査はHbA1c7.3,GLU1037,CPR0.6,TC212,LDL-C101であった.第2病日より理学療法開始.第6病日に劇症型1型糖尿病の診断.理学療法所見では糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準は1項目も満たさず,下肢MMT5,FIM126点で運動機能低下は認めなかった.疾病受容は否認期,行動変容ステージは無関心期であった.入院期間はエルゴメーターを実施,運動負荷はカルボーネン法を使用,VO2max50%,100拍/分で設定した.自己管理と対人関係が疾病受容の重要な要素となる報告があったことから,運動時間に疾病に対する不安を傾聴,カルテを通して多職種に情報共有した.退院後も週に150分以上の有酸素運動を継続するように指導,内科通院する際に活動量を携帯アプリで確認する関わりを継続した.
【結果】第9病日に大腸癌が発覚,第21病日に手術,第35病日に自宅退院となった.退院時は糖尿病に加えて癌の発症も重なり疾病受容は混乱期に移行した.血糖測定器リブレを使用して血糖管理が可能となり,退院3ヶ月後も血糖値が安定,HbA1c7.5,糖尿病慢性合併症の進行は認めず,心血管の危険因子も予防できた.有酸素運動は仕事を通して意識して行えていると報告があり,行動変容ステージは行動期,疾病受容は適応期へ移行,自己管理の習慣を獲得できた.
【結論】退院後も医療従事者が関わりを継続することが疾病受容に重要である.血糖が安定して合併症を進行させなかったことが自己効力感を高め自己管理獲得につながった.1型糖尿病は血糖変動が著しい為,行動変容ステージが維持期となるまで経過観察する必要がある.
倫理的配慮:
個人情報とプライバシーの保護に十分な配慮を行い,本人から書面にて同意を得た.
また,同意しないことにより不利益を受けないこと,同意撤回の自由についても説明した.
【症例】80歳代,男性.BMI16.7.既往歴は高血圧,高尿酸血症.入院前ADL自立,活動量1万歩/日,職業は薬剤師.妻が糖尿病で食事や運動に気遣っていた.現病歴は5日前より食欲不振あり.高血糖救急症を発症して入院となった.血液検査はHbA1c7.3,GLU1037,CPR0.6,TC212,LDL-C101であった.第2病日より理学療法開始.第6病日に劇症型1型糖尿病の診断.理学療法所見では糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準は1項目も満たさず,下肢MMT5,FIM126点で運動機能低下は認めなかった.疾病受容は否認期,行動変容ステージは無関心期であった.入院期間はエルゴメーターを実施,運動負荷はカルボーネン法を使用,VO2max50%,100拍/分で設定した.自己管理と対人関係が疾病受容の重要な要素となる報告があったことから,運動時間に疾病に対する不安を傾聴,カルテを通して多職種に情報共有した.退院後も週に150分以上の有酸素運動を継続するように指導,内科通院する際に活動量を携帯アプリで確認する関わりを継続した.
【結果】第9病日に大腸癌が発覚,第21病日に手術,第35病日に自宅退院となった.退院時は糖尿病に加えて癌の発症も重なり疾病受容は混乱期に移行した.血糖測定器リブレを使用して血糖管理が可能となり,退院3ヶ月後も血糖値が安定,HbA1c7.5,糖尿病慢性合併症の進行は認めず,心血管の危険因子も予防できた.有酸素運動は仕事を通して意識して行えていると報告があり,行動変容ステージは行動期,疾病受容は適応期へ移行,自己管理の習慣を獲得できた.
【結論】退院後も医療従事者が関わりを継続することが疾病受容に重要である.血糖が安定して合併症を進行させなかったことが自己効力感を高め自己管理獲得につながった.1型糖尿病は血糖変動が著しい為,行動変容ステージが維持期となるまで経過観察する必要がある.
倫理的配慮:
個人情報とプライバシーの保護に十分な配慮を行い,本人から書面にて同意を得た.
また,同意しないことにより不利益を受けないこと,同意撤回の自由についても説明した.
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