講演情報

[P-6-1]健常男性における超音波画像を用いたヒラメ筋構造としゃがみ動作時の足関節背屈可動域との関係

*宮阪 隼人1,2、桜庭 裕香1、瀧原 純1 (1. 総合病院土浦協同病院 リハビリテーション部、2. 茨城県立医療大学大学院 保健医療科学研究科)
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キーワード:

筋構造、剪断波エラストグラフィー、しゃがみ動作

【はじめに、目的】 糖尿病患者では足関節背屈可動域制限を呈していることが多く、特にしゃがみ動作においては前足部への圧負荷増加を生じ、足潰瘍リスクの一因となる。我々は背屈制限の要因として、足関節底屈を担う単関節筋であるヒラメ筋に注目した。筋厚や筋輝度、剪断弾性率などの構造的特性が関節可動域に影響を及ぼすことはすでに報告されているが、ヒラメ筋構造としゃがみ動作時の足関節背屈可動域との関係は健常者においても定量的に明らかにされていない。そこで本研究では、健常男性を対象に超音波画像により評価したヒラメ筋構造としゃがみ動作時の足関節背屈可動域との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】本研究は横断的観察研究である。対象は健常男性40例(年齢29.3±6.0歳、BMI 22.0±1.9)とした。測定項目はヒラメ筋構造(筋厚、筋輝度、剪断弾性率)と足関節背屈可動域、足関節筋力とした。ヒラメ筋構造は超音波画像診断装置を用いて、膝関節90°屈曲位、足関節背屈−10°、0°、10°に設定し、長軸像を測定した。筋厚はヒラメ筋の表層筋膜から深層筋膜までの長さを測定した。筋輝度はImage Jソフトウェアを用いて測定した。筋の硬さの指標である剪断弾性率は剪断波エラストグラフィーを用いて測定した。足関節背屈可動域は角度計を用いて、非荷重位(膝関節伸展位および90°屈曲位)と荷重位(しゃがみ動作時)の3条件で測定した。足関節筋力はBiodex Systemを用いて測定した。しゃがみ動作時の足関節背屈可動域を従属変数、年齢とBMI、測定項目を独立変数としてステップワイズ法を用いた重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。 【結果】 しゃがみ動作時の足関節背屈可動域を決定する独立変数には、背屈10°でのヒラメ筋の剪断弾性率(β=−0.582、p<0.001)と膝関節90°屈曲位での足関節背屈可動域(β=0.342、p=0.012)が選択され、調整済み決定係数は0.593、ダービン・ワトソン比は 2.022であり、残差はShapiro-Wilk検定でp=0.19であった。【結論】健常男性において、しゃがみ動作時の足関節背屈可動域には、伸張位でのヒラメ筋の剪断弾性率が影響することが示唆された。足関節背屈制限に対する治療介入や足病変の予防戦略において、ヒラメ筋の構造的特性が重要な評価・介入対象となる可能性がある。

倫理的配慮:
本研究は当院倫理委員会の審査で承認(2022FY127)された。研究参加者には、本研究の趣旨と目的について説明を十分に行い、書面にて同意を得た。

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