講演情報
[P-6-5]糖尿病性足病変患者の日常生活活動の変化と退院先に関する検討
*松木 宏多朗1、工藤 元輝1、皆田 渉平1、今岡 信介1 (1. 社会医療法人敬和会 大分岡病院 リハビリテーション部)
キーワード:
糖尿病性足病変、日常生活活動、転帰
【はじめに】
糖尿病性足病変は再発率や切断率が高く,患者の生命予後や生活の質に影響を及ぼす.特に小切断後は創部治癒や再発予防が困難であり,再切断回避や自立生活の維持には生活環境や退院先の選択が重要となる.本研究は,糖尿病性足病変患者の日常生活活動の変化と退院先の特徴を調査し,効果的な動作指導の一助とすることを目的とした.
【方法】
研究デザインは後ろ向き症例集積研究である.2023年4月から2024年5月までに当院形成外科に糖尿病性足病変にて入院し小切断を施行した32例とした.調査項目は,基本情報,在院日数,併存疾患,下肢筋力,関節可動域,FIM,再発の有無,退院先とした.退院先は,自宅群と転院群に分類し,それぞれの調査項目を比較した.2群間において,正規分布に従う場合はStudentのt検定を用い,非正規分布の場合はMann–WhitneyのU検定,名義尺度はχ2検定を用いて解析した.FIMはそれぞれに効果量を算出した.統計ソフトはIBM SPSS ver. 26.0を使用し,有意水準は5%とした.
【結果】
退院先は自宅群23例,転院群9例であった.退院時FIM総得点は自宅群111〔86–116〕,転院群75〔62–83〕と有意差を認めた(p=0.002).運動項目78〔51–81〕 vs 41〔27–48〕(p<0.001),食事7〔7–7〕 vs 6〔5–7〕(p=0.017),整容7〔5–7〕 vs 5〔4–5〕(p=0.001),上更衣7〔5–7〕 vs 3〔1–5〕(p=0.008),下更衣7〔5–7〕 vs 1〔1–2〕(p<0.001),トイレ移乗6〔6–7〕 vs 2〔1–5〕(p=0.001),浴槽移乗1〔1–5〕 vs 1〔1–1〕(p=0.021),歩行5〔2–6〕 vs 1〔1–1〕(p<0.001),階段1〔1–5〕 vs 1〔1–1〕(p=0.001)においても自宅群が有意に高値を示した.FIM総得点と運動項目は中等度の効果量を認めた.
【考察】
糖尿病性足病変患者において,退院時のFIM総得点および運動項目にて,自宅群が転院群と比較して有意に高値を示した.特に,歩行や階段昇降等の移動関連項目の自立度において顕著な差が認められたことは,退院先の決定において運動機能が影響を及ぼすことを示唆している.
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に準拠し,当院研究倫理委員会の承諾(受付番号A0058)を得て実施した.対象者には文書・口頭で研究内容を説明し,同意を得た上で研究を開始した.
糖尿病性足病変は再発率や切断率が高く,患者の生命予後や生活の質に影響を及ぼす.特に小切断後は創部治癒や再発予防が困難であり,再切断回避や自立生活の維持には生活環境や退院先の選択が重要となる.本研究は,糖尿病性足病変患者の日常生活活動の変化と退院先の特徴を調査し,効果的な動作指導の一助とすることを目的とした.
【方法】
研究デザインは後ろ向き症例集積研究である.2023年4月から2024年5月までに当院形成外科に糖尿病性足病変にて入院し小切断を施行した32例とした.調査項目は,基本情報,在院日数,併存疾患,下肢筋力,関節可動域,FIM,再発の有無,退院先とした.退院先は,自宅群と転院群に分類し,それぞれの調査項目を比較した.2群間において,正規分布に従う場合はStudentのt検定を用い,非正規分布の場合はMann–WhitneyのU検定,名義尺度はχ2検定を用いて解析した.FIMはそれぞれに効果量を算出した.統計ソフトはIBM SPSS ver. 26.0を使用し,有意水準は5%とした.
【結果】
退院先は自宅群23例,転院群9例であった.退院時FIM総得点は自宅群111〔86–116〕,転院群75〔62–83〕と有意差を認めた(p=0.002).運動項目78〔51–81〕 vs 41〔27–48〕(p<0.001),食事7〔7–7〕 vs 6〔5–7〕(p=0.017),整容7〔5–7〕 vs 5〔4–5〕(p=0.001),上更衣7〔5–7〕 vs 3〔1–5〕(p=0.008),下更衣7〔5–7〕 vs 1〔1–2〕(p<0.001),トイレ移乗6〔6–7〕 vs 2〔1–5〕(p=0.001),浴槽移乗1〔1–5〕 vs 1〔1–1〕(p=0.021),歩行5〔2–6〕 vs 1〔1–1〕(p<0.001),階段1〔1–5〕 vs 1〔1–1〕(p=0.001)においても自宅群が有意に高値を示した.FIM総得点と運動項目は中等度の効果量を認めた.
【考察】
糖尿病性足病変患者において,退院時のFIM総得点および運動項目にて,自宅群が転院群と比較して有意に高値を示した.特に,歩行や階段昇降等の移動関連項目の自立度において顕著な差が認められたことは,退院先の決定において運動機能が影響を及ぼすことを示唆している.
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に準拠し,当院研究倫理委員会の承諾(受付番号A0058)を得て実施した.対象者には文書・口頭で研究内容を説明し,同意を得た上で研究を開始した.
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