講演情報
[P-6-6]高活動により胼胝が形成されやすいか 外来維持透析患者におけるLife-space assessmentと足部胼胝の関係
*加藤 耕一1 (1. 医療法人社団健育会西伊豆健育会病院)
キーワード:
胼胝、足関節可動域、フレイル
【はじめに、目的】
胼胝とは,皮膚が繰り返し外部からの刺激を受けることによって角質層が厚く盛り上がった状態を示す.胼胝が形成されると潰瘍を経て下肢切断に至る場合がある.透析患者は下肢切断に陥ることが多く,下肢切断後の1年生存率は約50%と報告されている.そのため,胼胝の形成を予防することは生命予後だけでなく,住み慣れた地域で生活を続けるうえでも重要である.
足部胼胝は繰り返しの外部刺激や足関節可動域制限を要因とする報告があるが,外来維持透析患者の活動量との関係は明らかではない.そこで本研究では,当院透析センターにおける胼胝形成の要因を明らかにすることを目的とした.また,「胼胝を有する外来維持透析患者は,有さない者に比べLife-space assessment(以下LSA)が高い」と仮説を立てた.
【方法、あるいは症例】
当院透析センター通院中の患者のうち研究に同意が得られた33名(66脚)を対象とした.糖尿病の有無,胼胝の有無,介護保険の有無を調査し,胼胝を有する群と有さない群に分けた.統計解析は,足関節背屈可動域,Hemoglobin値,LSAを対応のないt検定で,糖尿病罹患および介護保険の有無をχ²検定で解析した.有意水準は5%未満とした.
【結果】
足関節背屈角度において胼胝の有無(p=0.0001),糖尿病の有無(p=0.01)で有意差を認めた.また,胼胝の有無と介護保険の有無(p=0.04)にも有意差が認められた.
【結論】
本研究では活動量と胼胝形成およびその他の要因を検討した.その結果,足関節背屈角度の中央値は,胼胝を有する群で5度,有さない群で15度であり,背屈角度5度以下では胼胝形成の傾向が示唆された.さらに,糖尿病罹患例では足関節可動域の低下が認められ,介護保険を有する場合に胼胝形成が多く,身体的フレイルが関与する可能性が考えられた.
一方,本研究の仮説である「胼胝を有する群はLSAが高い」という点については有意差を認めず,低活動例でも胼胝形成が見られた.これにより,胼胝形成には活動量よりも足関節可動域が大きく関与していると考えられた.したがって,理学療法介入において足関節背屈の改善とフレイル対策に焦点を当てることが,胼胝予防に有用である可能性がある.
【結語】
外来維持透析患者の胼胝形成には,足部可動域とフレイルが要因であることが示唆された.
倫理的配慮:
当院の倫理委員会にて承認を得た(R70115)
胼胝とは,皮膚が繰り返し外部からの刺激を受けることによって角質層が厚く盛り上がった状態を示す.胼胝が形成されると潰瘍を経て下肢切断に至る場合がある.透析患者は下肢切断に陥ることが多く,下肢切断後の1年生存率は約50%と報告されている.そのため,胼胝の形成を予防することは生命予後だけでなく,住み慣れた地域で生活を続けるうえでも重要である.
足部胼胝は繰り返しの外部刺激や足関節可動域制限を要因とする報告があるが,外来維持透析患者の活動量との関係は明らかではない.そこで本研究では,当院透析センターにおける胼胝形成の要因を明らかにすることを目的とした.また,「胼胝を有する外来維持透析患者は,有さない者に比べLife-space assessment(以下LSA)が高い」と仮説を立てた.
【方法、あるいは症例】
当院透析センター通院中の患者のうち研究に同意が得られた33名(66脚)を対象とした.糖尿病の有無,胼胝の有無,介護保険の有無を調査し,胼胝を有する群と有さない群に分けた.統計解析は,足関節背屈可動域,Hemoglobin値,LSAを対応のないt検定で,糖尿病罹患および介護保険の有無をχ²検定で解析した.有意水準は5%未満とした.
【結果】
足関節背屈角度において胼胝の有無(p=0.0001),糖尿病の有無(p=0.01)で有意差を認めた.また,胼胝の有無と介護保険の有無(p=0.04)にも有意差が認められた.
【結論】
本研究では活動量と胼胝形成およびその他の要因を検討した.その結果,足関節背屈角度の中央値は,胼胝を有する群で5度,有さない群で15度であり,背屈角度5度以下では胼胝形成の傾向が示唆された.さらに,糖尿病罹患例では足関節可動域の低下が認められ,介護保険を有する場合に胼胝形成が多く,身体的フレイルが関与する可能性が考えられた.
一方,本研究の仮説である「胼胝を有する群はLSAが高い」という点については有意差を認めず,低活動例でも胼胝形成が見られた.これにより,胼胝形成には活動量よりも足関節可動域が大きく関与していると考えられた.したがって,理学療法介入において足関節背屈の改善とフレイル対策に焦点を当てることが,胼胝予防に有用である可能性がある.
【結語】
外来維持透析患者の胼胝形成には,足部可動域とフレイルが要因であることが示唆された.
倫理的配慮:
当院の倫理委員会にて承認を得た(R70115)
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