講演情報
[SR-1]高齢2型糖尿病患者における基礎代謝率の予測値と実測値の乖離の要因
*渡部 裕登1、河野 健一2、尾張 剛1、野中 貴広1、山崎 大聖1、西田 裕介3 (1. 国際医療福祉大学成田病院 リハビリテーション技術部、2. 国際医療福祉大学 福岡保健医療学部 理学療法学科、3. 国際医療福祉大学 成田保健医療学部 理学療法学科)
キーワード:
基礎代謝率
【背景】基礎代謝量(BMR)は個人の代謝特性を反映し、一日の総エネルギー消費量の推定や栄養管理の基準となる。しかし予測BMRは標準体重を基に算出されることから、予測BMRに対する実測BMR(%BMR)の乖離が問題となる。%BMR低値の要因は代謝効率低下や肥満者での予測値の過大評価であり、一方、%BMR高値は除脂肪量(FFM)が多く筋代謝効率が良好な場合もあれば、炎症や高血糖により病的に代謝が亢進している可能性がある。高齢2型糖尿病患者では糖代謝異常に加えサルコペニアを併存しやすく、予測値との乖離要因を明らかにし運動療法や栄養管理等に活用する必要がある。そこで本研究は、加齢性変化に加わる脂肪増加や高トリグリセリド(TG)血症に伴う慢性炎症が代謝効率を低下させると仮説をたて、体脂肪量・内臓脂肪面積・TGの増加が%BMR低下に関連することを明らかにする。
【方法】対象は、血糖コントロール目的で入院した65歳以上の2型糖尿病患者51名とした。診療録よりBMR、FFM、体脂肪量、内臓脂肪面積、TGを抽出した。予測BMRは厚労省基準式に基づき算出し、実測BMR/予測BMR×100で%BMRを求めた。%BMRを従属変数、性別・FFM・体脂肪量・内臓脂肪面積・TGを説明変数とし重回帰分析を行い、有意水準は5%未満とした。
【結果】重回帰分析の結果、体脂肪量(β=-0.613, p<0.001)とTG(β=-0.241, p<0.05)が%BMRに有意な負の関連を示した。内臓脂肪面積は単変量解析で負の相関を示したが、多変量解析では有意ではなかった。性別は有意因子として残り、男性で%BMRが高い傾向が認められた。
【考察】高齢2型糖尿病患者における%BMR低下は、体脂肪量およびTG増加に関連する可能性が示された。特に肥満者では予測値が過大評価されやすく、予測値が高くても実際のBMRは低下しており、これは脂肪組織の代謝活性が低いことや高TG血症はインスリン抵抗性や炎症を介して筋代謝効率を低下させるため、%BMRが低下したと考える。本研究は、これら複合的要因が%BMR低下に関与することを示し、体組成改善と脂質代謝異常の是正が代謝効率維持に重要であることを示唆した。
倫理的配慮:
本研究は国際医療福祉大学成田病院倫理審査委員会の承認(承認番号:25-CN-011)を受け実施した。
【方法】対象は、血糖コントロール目的で入院した65歳以上の2型糖尿病患者51名とした。診療録よりBMR、FFM、体脂肪量、内臓脂肪面積、TGを抽出した。予測BMRは厚労省基準式に基づき算出し、実測BMR/予測BMR×100で%BMRを求めた。%BMRを従属変数、性別・FFM・体脂肪量・内臓脂肪面積・TGを説明変数とし重回帰分析を行い、有意水準は5%未満とした。
【結果】重回帰分析の結果、体脂肪量(β=-0.613, p<0.001)とTG(β=-0.241, p<0.05)が%BMRに有意な負の関連を示した。内臓脂肪面積は単変量解析で負の相関を示したが、多変量解析では有意ではなかった。性別は有意因子として残り、男性で%BMRが高い傾向が認められた。
【考察】高齢2型糖尿病患者における%BMR低下は、体脂肪量およびTG増加に関連する可能性が示された。特に肥満者では予測値が過大評価されやすく、予測値が高くても実際のBMRは低下しており、これは脂肪組織の代謝活性が低いことや高TG血症はインスリン抵抗性や炎症を介して筋代謝効率を低下させるため、%BMRが低下したと考える。本研究は、これら複合的要因が%BMR低下に関与することを示し、体組成改善と脂質代謝異常の是正が代謝効率維持に重要であることを示唆した。
倫理的配慮:
本研究は国際医療福祉大学成田病院倫理審査委員会の承認(承認番号:25-CN-011)を受け実施した。
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