講演情報
[SR-2]月経前におけるヨガが血糖に及ぼす影響に関するクロスオーバー比較試験
*福岡 未悠1、小野 くみ子1、中山 優豊1、郭 添韵1、江川 裕樹1、杉本 陸1、増田 陸人2、安田 尚史1 (1. 神戸大学大学院保健学研究科、2. 神戸大学医学部保健学科理学療法学専攻)
キーワード:
ヨガ、血糖、月経前症候群(PMS)
【目的】日本人女性は身体活動量が少ない。その原因のひとつとして月経前の不調(PMS)による運動意欲の低下が考えられる。近年、ヨガが低強度で実施可能かつPMS緩和にも有効とされている。本研究は、月経前におけるヨガの急性血糖応答への影響を歩行および安静座位と比較して明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は健常若年成人女性15名。包含基準は、月経前の心身の不調、糖負荷30分後血糖値≧140mg/dLであった。ヨガ(Y)、快適歩行(W)、安静(C)の3条件をランダムに、月経3~10日前に、10時間以上の絶食で実施した。対象者は研究室に来室後、気分の評価(PANAS)を記入した。血糖は糖負荷開始直前、負荷後60分まで15分毎と、90、120分の計6回測定した。糖負荷10分後から心臓副交感神経系活動(LnHF)を5分間測定し、心拍数をモニタリングした。3条件のうち1つを糖負荷開始後15分から45分までの30分間実施した。介入後再びLnHFを測定し、PANASと運動の楽しさ(PACES)を記入した。その後60分間は座位安静とした。主要評価項目は血糖上昇曲線下面積(iAUC)、副次評価項目は血糖値、心拍数、LnHF、PANAS、PACESの得点であった。統計学的有意差をp<0.05とした。
【結果】
iAUCについて、Y・W条件はC条件と比較して有意に低値であった。血糖ピーク値はW条件とC条件間に有意差を認めた。これより、ヨガにも血糖降下作用があることが示された。心拍数はW>Y>Cで各条件間に有意差を認めた。LnHFはW条件でのみ有意に低下した。運動強度の観点からGLUT4による糖取り込みはW>Y>Cの順に多かったと考えられるが、Y条件では心臓副交感神経系活動を保持し、インスリン作用の低下が抑制されたため、iAUCのW・Y条件間に有意差がなかったと考えられる。PANASのPA(ポジティブ感情)はY・W条件で有意に上昇し、NA(ネガティブ感情)はすべての条件で有意に低下した。PACESは有意差がなかった。
【結論】
ヨガは月経前の若年成人女性において、歩行と差のない血糖降下作用を示し、安静と比較してiAUCを有意に低下させた。これらより、低強度で自宅でも実施可能なヨガは、運動習慣のない女性に適した運動様式として血糖マネジメントに活用できる可能性が示唆された。
倫理的配慮:
対象者にはヘルシンキ宣言に則り、研究内容を口頭および書面で説明し、書面にて同意を得た上で実施した。なお、本学倫理委員会の承認(令和7年3月22日承認:承認番号第1290-1号)および実施許可を得た。
【方法】
対象は健常若年成人女性15名。包含基準は、月経前の心身の不調、糖負荷30分後血糖値≧140mg/dLであった。ヨガ(Y)、快適歩行(W)、安静(C)の3条件をランダムに、月経3~10日前に、10時間以上の絶食で実施した。対象者は研究室に来室後、気分の評価(PANAS)を記入した。血糖は糖負荷開始直前、負荷後60分まで15分毎と、90、120分の計6回測定した。糖負荷10分後から心臓副交感神経系活動(LnHF)を5分間測定し、心拍数をモニタリングした。3条件のうち1つを糖負荷開始後15分から45分までの30分間実施した。介入後再びLnHFを測定し、PANASと運動の楽しさ(PACES)を記入した。その後60分間は座位安静とした。主要評価項目は血糖上昇曲線下面積(iAUC)、副次評価項目は血糖値、心拍数、LnHF、PANAS、PACESの得点であった。統計学的有意差をp<0.05とした。
【結果】
iAUCについて、Y・W条件はC条件と比較して有意に低値であった。血糖ピーク値はW条件とC条件間に有意差を認めた。これより、ヨガにも血糖降下作用があることが示された。心拍数はW>Y>Cで各条件間に有意差を認めた。LnHFはW条件でのみ有意に低下した。運動強度の観点からGLUT4による糖取り込みはW>Y>Cの順に多かったと考えられるが、Y条件では心臓副交感神経系活動を保持し、インスリン作用の低下が抑制されたため、iAUCのW・Y条件間に有意差がなかったと考えられる。PANASのPA(ポジティブ感情)はY・W条件で有意に上昇し、NA(ネガティブ感情)はすべての条件で有意に低下した。PACESは有意差がなかった。
【結論】
ヨガは月経前の若年成人女性において、歩行と差のない血糖降下作用を示し、安静と比較してiAUCを有意に低下させた。これらより、低強度で自宅でも実施可能なヨガは、運動習慣のない女性に適した運動様式として血糖マネジメントに活用できる可能性が示唆された。
倫理的配慮:
対象者にはヘルシンキ宣言に則り、研究内容を口頭および書面で説明し、書面にて同意を得た上で実施した。なお、本学倫理委員会の承認(令和7年3月22日承認:承認番号第1290-1号)および実施許可を得た。
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