講演情報

[SR-3]糖負荷がレジスタンス運動時の筋酸素動態および昇圧応答に与える影響

*恒川 新1、赤沼 航季1、山本 咲季1、根木 亨2、片寄 正樹2、岩本 えりか2 (1. 札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2. 札幌医科大学 保健医療学部)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

食後高血糖、筋酸素取り込み、昇圧応答

【はじめに、目的】
2型糖尿病では運動時の昇圧応答が亢進し,特に静的運動で過剰な血圧上昇が報告されている.この過剰な昇圧応答は心血管疾患リスクとなる.近年,食後や糖負荷後の血糖値が140 mg/dLを超える「食後高血糖」が注目され,血管内皮機能障害や動脈硬化との関連が示されている.食後高血糖者では運動中の血圧上昇が過剰になるが,その機序や筋酸素動態との関係は不明である.また,糖の種類によって循環応答は異なり,グルコースは血糖値が上昇しやすく,フルクトースは血糖値の上昇は緩やかだが血圧上昇が大きい可能性が示されている.本研究では,グルコースおよびフルクトース摂取後の運動中における循環応答と筋酸素動態に着目し,血圧上昇および筋酸素取り込みとの関連を明らかにすることを目的とした.

【方法、あるいは症例】
空腹時血糖値が正常な若年男女4名(24±5歳,mean±SD)を対象に,グルコース試行(グルコース75g摂取)およびフルクトース試行(フルクトース75g摂取)をランダムに別日に実施した.握力の最大随意収縮力(MVC)測定後,15分間の安静を経て糖負荷前の血糖値,血管内皮機能,筋酸素動態を評価し,30%MVCの静的ハンドグリップ運動を3分間実施した.その後,グルコースまたはフルクトースを摂取させ,経時的に糖負荷後の血糖値を測定した.糖負荷から45分後に再度,血管内皮機能および筋酸素動態を測定し,60分後に静的ハンドグリップ運動を行った.血糖値は指尖からの微量採血により測定し,運動時の血圧はFinometerを用いて連続的に測定した.筋酸素動態は近赤外線分光法にて評価し,前腕の駆血開始から1分間のStO2 downslopeを指標とした.
【結果】
グルコース試行では,血糖値がフルクトース試行と比較して高値を示した.運動時の昇圧応答は,4名中3名においてグルコース試行がフルクトース試行よりも大きい傾向にあった.また,フルクトース試行ではグルコース試行と比べて,4名中3名でStO2 downslopeが小さいことから筋酸素取り込み能が低い傾向が示唆された.
【結論】
本研究では,グルコース摂取がフルクトース摂取と比較して,運動時の昇圧応答が大きい可能性が示唆された.今後は被験者数を増やし、グルコースおよびフルクトース摂取後の昇圧応答と筋酸素取り込み能,加えて血流量との関係を検討する必要がある.

倫理的配慮:
札幌医科大学 倫理委員会の承認を得た(承認番号:7-1-19番)

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン