講演情報
[O-4-4]呼吸サルコペニアを有する糖尿病性腎症(第5期)患者に対する透析中の呼吸筋トレーニング-シングルケーススタディ-
*長井 梓苑1、片岡 弘明2、宮崎 慎二郎1、石川 尚輝3、岩田 康伸3、吉川 理津子4、村尾 敏4、松原 啓介5
1. KKR高松病院 リハビリテーションセンター
2. 岡山医療専門職大学 健康科学部 理学療法学科
3. KKR高松病院 血液浄化センター
4. KKR高松病院 代謝・内分泌内科
5. KKR高松病院 腎臓内科
1. KKR高松病院 リハビリテーションセンター
2. 岡山医療専門職大学 健康科学部 理学療法学科
3. KKR高松病院 血液浄化センター
4. KKR高松病院 代謝・内分泌内科
5. KKR高松病院 腎臓内科
キーワード:
呼吸サルコペニア、糖尿病性腎症、呼吸筋トレーニング
【はじめに、目的】
血液透析(HD)患者は,体液過剰や電解質異常,尿毒症性ミオパチーなどの影響により筋力低下が生じやすい.また,呼吸筋にも影響が及び,呼吸サルコペニアを合併する可能性がある.特に透析導入の主要原因である糖尿病患者においても呼吸筋力低下が報告されている.呼吸サルコペニアは呼吸筋力と筋量の低下を特徴とし,呼吸機能や身体機能,ADLおよび予後を悪化させることが示唆されている.しかし,呼吸サルコペニアに対する治療法は確立されていない.呼吸筋トレーニング(RMT)は呼吸筋力,呼吸機能,身体機能,息切れの改善に効果があるとされ,呼吸サルコペニアに対する介入法として期待されている.本研究は,呼吸サルコペニアを有する糖尿病性腎症患者に対し,HD中にRMTを実施し,身体機能やADL,身体活動量への影響を予備的に検証することを目的とした.
【方法、あるいは症例】
対象は,糖尿病性腎症により13年前からHDを導入された78歳男性で,ADLは自立しており,週3回の外来HDを受けている.研究デザインにはAB型シングルケースデザインを採用し,各期間を4週間と設定した.A期(基礎水準期)には仰臥位エルゴメーターを用いた有酸素運動とセラバンドおよび重錘を使用したレジスタンストレーニングを実施.B期(操作介入期)にはA期の運動療法に加え,吸気抵抗負荷装置を用いたRMTを実施し,いずれもHD中に介入した.評価項目は,体重,SMI(筋肉量指数),握力,膝伸展筋力,最大吸気圧(PImax),最大呼気圧(PEmax),歩行速度,ADL difficulty,IPAQ(国際身体活動質問票)であり,各期の前後に測定した.
【結果】
B期では,PImaxおよびPEmaxの改善が認められた.また,ADL difficultyおよびIPAQにも改善傾向が認められた.これに対して,体重,SMI,握力,膝伸展筋力,歩行速度には明らかな変化は確認されなかった.
【結論】
透析中に実施したRMTは,呼吸サルコペニアを有する糖尿病性腎症患者に対し,呼吸筋力やADL,身体活動量の改善に寄与する可能性が示唆された.今後,症例数を増やした上でさらなる検証が必要であり,RMTが呼吸サルコペニアがある糖尿病性腎症患者の治療戦略の一部として有効かどうかを明らかにするための研究が求められる.
倫理的配慮:
KKR高松病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(E307).
血液透析(HD)患者は,体液過剰や電解質異常,尿毒症性ミオパチーなどの影響により筋力低下が生じやすい.また,呼吸筋にも影響が及び,呼吸サルコペニアを合併する可能性がある.特に透析導入の主要原因である糖尿病患者においても呼吸筋力低下が報告されている.呼吸サルコペニアは呼吸筋力と筋量の低下を特徴とし,呼吸機能や身体機能,ADLおよび予後を悪化させることが示唆されている.しかし,呼吸サルコペニアに対する治療法は確立されていない.呼吸筋トレーニング(RMT)は呼吸筋力,呼吸機能,身体機能,息切れの改善に効果があるとされ,呼吸サルコペニアに対する介入法として期待されている.本研究は,呼吸サルコペニアを有する糖尿病性腎症患者に対し,HD中にRMTを実施し,身体機能やADL,身体活動量への影響を予備的に検証することを目的とした.
【方法、あるいは症例】
対象は,糖尿病性腎症により13年前からHDを導入された78歳男性で,ADLは自立しており,週3回の外来HDを受けている.研究デザインにはAB型シングルケースデザインを採用し,各期間を4週間と設定した.A期(基礎水準期)には仰臥位エルゴメーターを用いた有酸素運動とセラバンドおよび重錘を使用したレジスタンストレーニングを実施.B期(操作介入期)にはA期の運動療法に加え,吸気抵抗負荷装置を用いたRMTを実施し,いずれもHD中に介入した.評価項目は,体重,SMI(筋肉量指数),握力,膝伸展筋力,最大吸気圧(PImax),最大呼気圧(PEmax),歩行速度,ADL difficulty,IPAQ(国際身体活動質問票)であり,各期の前後に測定した.
【結果】
B期では,PImaxおよびPEmaxの改善が認められた.また,ADL difficultyおよびIPAQにも改善傾向が認められた.これに対して,体重,SMI,握力,膝伸展筋力,歩行速度には明らかな変化は確認されなかった.
【結論】
透析中に実施したRMTは,呼吸サルコペニアを有する糖尿病性腎症患者に対し,呼吸筋力やADL,身体活動量の改善に寄与する可能性が示唆された.今後,症例数を増やした上でさらなる検証が必要であり,RMTが呼吸サルコペニアがある糖尿病性腎症患者の治療戦略の一部として有効かどうかを明らかにするための研究が求められる.
倫理的配慮:
KKR高松病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(E307).
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