講演情報

[P-7-1]保存期CKD患者の下腿浮腫に対する下肢電気刺激使用の臨床的有用性に関する症例報告

*竹谷 健吾1、山本 義浩2 (1. トヨタ記念病院 リハビリテーション科、2. トヨタ記念病院 腎臓内科)
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キーワード:

保存期CKD、EMS、下腿浮腫

【はじめに、目的】
保存期慢性腎臓病(CKD)患者における下腿浮腫は、QOLや身体機能を低下させ、身体活動の制限因子となる。薬物療法以外での対策は限られており、近年、電気刺激機器を用いた筋ポンプ作用の代償による浮腫改善への期待が高まっている。本報告ではFootFitを用いた電気刺激を保存期CKD患者に適用し、浮腫、身体機能、自己効力感への影響を症例ベースで検討した。
【症例】
症例は保存期CKDステージ3の80代女性。高血圧、糖尿病を併存し、下腿浮腫を有していた。入院時、圧痕性浮腫スコア(pitting edema scale)は3+、下腿周径は左右とも36.0cmであった。VAS評価では「足のむくみ感」98mm、「足の不快感」49mm、身体機能はSPPB 7点、運動自己効力感(ESES)は10点であった。FootFitによる下肢電気刺激を1日2回、各15分間、14日間実施した。介入前後でVAS、ESES、SPPB、下腿周径を評価した。
【結果】
介入後、VAS(むくみ感)は98→78mm、VAS(足の不快感)は49→1mmと改善を認め、足の快適さが増した。下腿周径は33.5cmに減少し、客観的浮腫改善も得られた。ESESは10→14点に上昇し、運動への自信と意欲が向上した。SPPBは7→9点へ改善し、身体機能の向上も確認された。
【結論】
FootFitによる下肢電気刺激は、保存期CKD患者において浮腫軽減、身体機能改善、運動自己効力感向上に有効である可能性が示唆された。簡便かつ安全性の高い非薬物的介入であり、教育入院や外来での臨床応用が期待される。今後は症例数を増やし、効果の一般化可能性や長期的効果を検討していく必要がある。

倫理的配慮:
患者本人に症例報告としての発表・掲載について説明し、文書または口頭で同意を得た。

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