講演情報

[P-7-2]糖尿病を有する虚血性心疾患患者に対する外来心臓リハビリテーションの効果~在宅運動における自転車エルゴメータとウォーキングの運動効果の違い~

*田辺 篤志1、内田 佑樹1、青谷 亮輔1、田中 修人1、西川 凛1、筒井 恒太1、渡辺 健史1、柴田 健治1 (1. 大津赤十字病院)
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キーワード:

糖尿病、虚血性心疾患患者、在宅有酸素運動実施率

【目的】一般に糖尿病を持つ虚血性心疾患患者(DM群)は糖尿病を持たない者(NDM群)に比べ運動耐容能が低下しているとされる。本研究はDM群の外来心臓リハビリテーション(CR)の効果を明らかにし、またDM群の在宅有酸素運動を自転車エルゴメータ(Ergo群)とウォーキング(Walk群)の2群に分けて効果の違いを調べた。
【方法】対象は2022年4月~2025年4月の間に当院CRで5ヵ月間のプログラムを完遂し、CPXを測定した虚血性心疾患患者34名とし、DM群16名とNDM群18名の2群を初期と最終で比較した。またDM群16名をErgo群11名、Walk群5名の2群に分けて効果の違いを調べた。評価項目はPeak VO2、%Peak WR、Peak VO2/HR、VE/VCO2 slope、ΔVO2/ΔWR、ΔHR 、SPPB、6MD、膝伸展筋力体重比、握力、EQ-5、セルフエフィカシー、HAD、在宅有酸素運動実施率、疼痛で統計処理はt検定、有意水準5%未満とした。
【結果】DM群、NDM群の初期と最終では両群でPeak VO2、ΔHR、膝伸展筋力体重比、%Peak WR、Peak VO2/HR、6MDが有意に改善し、DM群でBMIが有意に改善した。両群間の各評価項目の変化量に有意差は無かった。一方、DM群(Ergo群、Walk群)の初期と最終では両群で%Peak WR、6MD が有意に改善し、DM-Ergo群でPeak VO2、Peak VO2/HR、膝伸展筋力体重比、HAD、BMIが有意に改善した。両群の変化量はDM-Ergo群でPeak VO2、握力、HADが有意に改善した。また、在宅有酸素運動のアドヒアランス獲得率はDM群で81%、疼痛有はDM群で43.8%であった。
【結論】当院CR通院のDM群はNDM群と同等の身体機能改善を得られた。その要因は当院の特徴である個々の身体状況に配慮した管理や定量的負荷設定が可能なErgoの利用推奨、DM群内では疼痛を有する者が有意に多く、一般に関節の負担が少ないErgoの選択により減量が図られ、心理的要素も軽減された事からアドヒアランスが高まり、在宅運動実施率向上に繋がったと考えられた。当院CRでは両群共に同程度の運動耐容能改善効果が得られ、DM群では在宅有酸素運動に関節負荷軽減やアドヒアランスの観点からErgoの利用が心身機能改善に効果的である事が示唆された。

倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、研究に先立ち個人情報を特定されないよう配慮した上でデータを使用した。

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