講演情報
[P-7-4]~糖尿病神経障害・本態性低血圧を呈し離床時血圧低下を認め,運動療法に難渋した1型糖尿病患者へのリハビリテーション~
*根岸 克也1、戸塚 優一郎1、髙橋 彩音1、大島 すみよ2、濱口 牧子3 (1. 社会医療法人社団東京巨樹の会 東京品川病院 リハビリテーション科、2. 社会医療法人社団東京巨樹の会 東京品川病院 看護部、3. 社会医療法人社団東京巨樹の会 東京品川病院 内分泌糖尿病内科 医局)
キーワード:
糖尿病神経障害、本態性低血圧、起立性低血圧症
【はじめに、目的】運動療法において,血圧低下は阻害因子となり,廃用症候群進行の可能性がある.糖尿病神経障害,本態性低血圧を呈し,前回入院時,運動療法に難渋した患者に対し,下腿への弾性包帯に加え,腹帯の代用として腹部へセラバンドを使用する.運動療法,6分間歩行試験(以下6MWT)を実施し,血圧変動,主観的運動強度の評価を行い,運動療法阻害因子への対応とできるか比較検討した症例を経験したため報告する.【方法、あるいは症例】77歳男性.18年前に1型糖尿病を発症.今回食欲不振による糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA)にて入院となる.既往歴は,本態性低血圧,起立性低血圧症.処方薬として,リズミック10mg,フォシーガ5mg,ルネスタ1mgである.3病日目よりADL拡大のためリハビリテーション開始となる.理学療法評価として,シェロング試験陽性.振動覚低下.アキレス腱反射両側減弱. CV-RR:1.12%.握力:右31.0㎏,左27.2㎏.ASMI:6.26である.運動療法時,両下腿への弾性包帯,腹部へのセラバンドを使用する.また,2日間に計2回の6MWTを実施し,弾性包帯,セラバンドを使用した患者の血圧変動・主観的運動強度を比較する.【結果】6MWT(物品なし):186m.2分30秒で一度休憩. (安静座位)血圧:81/56 mmHg,(試験後)血圧:61/34 mmHg.Borg Scale:呼吸12下肢11.6MWT(弾性包帯,セラバンド):180m. 5分30秒で休憩.その後再開なし.(安静座位)血圧:84/54 mmHg,(試験後)62/39 mmHg. Borg Scale:呼吸13下肢13.総歩行距離,血圧変動,主観的運動強度に大きな変化はなかった.連続歩行時間は2分30秒から5分30秒と延長が見られた.【結論】血圧低下に関して弾性包帯・セラバンドの使用は,両下肢および腹腔内臓器の静脈系への血液貯留防止,心臓への静脈還流を増加する目的だが,本症例は,糖尿病神経障害にくわえ本態性低血圧を呈していた.また,DKA改善後も軽度脱水があり,筋肉量低下から廃用症候群を呈している可能性があった.そのため有効な手段ではなかったと考える.しかし,入院中の活動量,運動療法時の歩行距離,運動時間は前回入院時より増加した.本症例は,早期離床を行い廃用症候群の進行,起立性低血圧の増悪なく自宅退院となった.
倫理的配慮:
本研究は、対象者に対して研究の目的および内容を十分に説明し、書面による同意を得た上で実施した。また、対象者のプライバシー保護に十分配慮し、個人が特定されないようデータを取り扱った。
倫理的配慮:
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