講演情報
[P-8-4]糖尿病性腎症により透析導入をした血液透析患者の筋内脂肪と骨格筋量、身体機能との関連
*池田 理紗1、臼井 直人1,2、小島 将1、西山 裕貴1、杉山 慶3、稲津 昭仁4、上畑 昭美4 (1. 嬉泉病院 リハビリテーション科、2. 順天堂大学大学院医学研究科腎臓内科学、3. 嬉泉病院 放射線科 、4. 嬉泉病院 内科)
キーワード:
糖尿病性腎症、血液透析患者、筋内脂肪
【はじめに、目的】
腹部CTは,骨格筋に加えて筋内脂肪の指標を評価することができ,CTで評価した筋内脂肪は骨格筋量よりも身体機能と関連する.筋内脂肪は,健常高齢者と比べて血液透析(HD)患者や糖尿病(DM)患者で多いことから,DM腎症で透析導入した患者ではより筋内脂肪の増加により身体機能が低下している可能性がある.本研究の目的は,DM性腎症で透析導入したHD患者の腹部CTで評価した筋内脂肪と骨格筋量,身体機能の関連を明らかにすることである.
【方法】
2021年7月~2025年2月に腹部CTを撮影した外来HD患者84名を対象とした.腹部CTの第3腰椎レベルのスライス画像から総骨格筋断面積(SMA)を算出した.SMAは,CT値に基づき筋肉内脂肪組織が少ない正常減衰筋面積(NAMA),脂肪組織が多い低減衰筋面積(LAMA)に分け,それぞれ身長の二乗で除して正規化した.身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB)とその下位項目を用いた.患者特性の比較は,DM性腎症による透析導入の有無で2群(DM群,非DM群)に分け,対応のないt検定,Mann-WhitneyのU検定を行った.腹部CT指標と身体機能との関連をPearsonの相関係数またはSpearmanの順位相関係数で評価した.
【結果】
DM群は非DM群よりもBMI(24.7kg/m2 vs. 22.6kg/m2,P=0.008),SMA(45.2 cm2/m2 vs. 39.6cm2/m2,P=0.003),LAMA(18.6cm2/m2 vs. 15.1 cm2/m2,P=0.002)が有意に高かったが身体機能に有意差はなかった.DM群は,LAMAと快適歩行速度(r=-0.48,p<0.01)に相関を認め,NAMAとSMAは相関がなかった.非DM群は,LAMAとSPPB(r=-0.32,p<0.05),快適歩行速度(r=-0.39,p<0.01),バランス(r=0.31,p<0.05)に相関を認め,NAMAとSPPB(r=0.30,p<0.05),5回立ち上がり(r=-0.30,p<0.05),バランス(r=0.45,p<0.01)に相関を認めたが,SMAは相関がなかった.
【結論】
DMの有無に関わらず筋内脂肪は骨格筋量よりも身体機能と関連する事から量だけでなく質にも着目する必要がある.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
本研究は嬉泉病院(承認番号:2020-06-001)の倫理委員会に承認され,全参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得て実施された.
腹部CTは,骨格筋に加えて筋内脂肪の指標を評価することができ,CTで評価した筋内脂肪は骨格筋量よりも身体機能と関連する.筋内脂肪は,健常高齢者と比べて血液透析(HD)患者や糖尿病(DM)患者で多いことから,DM腎症で透析導入した患者ではより筋内脂肪の増加により身体機能が低下している可能性がある.本研究の目的は,DM性腎症で透析導入したHD患者の腹部CTで評価した筋内脂肪と骨格筋量,身体機能の関連を明らかにすることである.
【方法】
2021年7月~2025年2月に腹部CTを撮影した外来HD患者84名を対象とした.腹部CTの第3腰椎レベルのスライス画像から総骨格筋断面積(SMA)を算出した.SMAは,CT値に基づき筋肉内脂肪組織が少ない正常減衰筋面積(NAMA),脂肪組織が多い低減衰筋面積(LAMA)に分け,それぞれ身長の二乗で除して正規化した.身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB)とその下位項目を用いた.患者特性の比較は,DM性腎症による透析導入の有無で2群(DM群,非DM群)に分け,対応のないt検定,Mann-WhitneyのU検定を行った.腹部CT指標と身体機能との関連をPearsonの相関係数またはSpearmanの順位相関係数で評価した.
【結果】
DM群は非DM群よりもBMI(24.7kg/m2 vs. 22.6kg/m2,P=0.008),SMA(45.2 cm2/m2 vs. 39.6cm2/m2,P=0.003),LAMA(18.6cm2/m2 vs. 15.1 cm2/m2,P=0.002)が有意に高かったが身体機能に有意差はなかった.DM群は,LAMAと快適歩行速度(r=-0.48,p<0.01)に相関を認め,NAMAとSMAは相関がなかった.非DM群は,LAMAとSPPB(r=-0.32,p<0.05),快適歩行速度(r=-0.39,p<0.01),バランス(r=0.31,p<0.05)に相関を認め,NAMAとSPPB(r=0.30,p<0.05),5回立ち上がり(r=-0.30,p<0.05),バランス(r=0.45,p<0.01)に相関を認めたが,SMAは相関がなかった.
【結論】
DMの有無に関わらず筋内脂肪は骨格筋量よりも身体機能と関連する事から量だけでなく質にも着目する必要がある.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
本研究は嬉泉病院(承認番号:2020-06-001)の倫理委員会に承認され,全参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得て実施された.
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