講演情報
[P-11-1]Phase Angleと運動機能の関係~2型糖尿病患者を対象とした部位別の検討~
*菅原 翼1、本間 大介1、大和 萌子1、石﨑 昌文1、鈴木 亜希子2 (1. 新潟万代病院 リハビリテーション科、2. 新潟万代病院 内科)
キーワード:
2型糖尿病、Phase angle、運動機能
【はじめに、目的】
筋機能の指標であるPhase angle(PhA)は、骨格筋量よりも鋭敏な指標とされており、運動機能との関連も示されている。先行研究では、全身PhAを指標としている報告が多いが、近年は、目的に応じた部位ごとのPhA評価の有効性が報告されている。糖尿病患者では下肢の筋萎縮など局所的に進行しやすいが、PhAの有効な測定部位を検討している報告はない。目的は2型糖尿病患者の全身と下肢のPhAおよび筋量と運動機能との関連を明らかにすることである。
【方法、あるいは症例】
対象は教育入院のために入院した独歩可能な2型糖尿病患者19名(女性10名)とした。測定項目は血液データなどの基本的な項目に加え、多周波生体電気インピーダンス法から得られる全身と下肢のPhAおよび筋量、運動機能としてShort Physical Performance Battery(SPPB)、Timed up and Go test(TUG)、立ち上がり時のパワー(F/w)、立ち上がり時のスピード(RFD/w)を測定した。筋量は体重で除して算出した。統計解析は、PhAおよび筋量と運動機能の関連を明らかにするため、各データに正規性の検定を実施し、正規分布に準じてpearsonまたはspearmanの相関係数を用いて検討した。各統計分析の有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者は、年齢71.0(54.5-74.8)歳、BMIは23.5(20.6-28.7)kg/m²、HbA1cは11.4±2.27、全身PhAは4.94 ± 0.83、下肢PhAは4.61 ± 1.01であった。相関分析の結果、有意な相関があった項目は、全身PhAはTUG(r=-0.589)、F/w(r=0.642)、下肢PhAはSPPB(r=0.460)、TUG(r=-0.639)、F/w(r=0.643)であった。また、全身および下肢筋量はF/wとのみ正の相関があった(全身r=0.489、下肢r=0.458)。
【結論】
本研究結果から、下肢PhAは全身および下肢筋量や全身PhAよりも各運動機能を鋭敏に反映する指標であることが考えられた。糖尿病患者では下肢の機能低下が局所的に進行しやすいため、糖尿病患者の筋機能評価は、筋量よりも筋質を反映するPhAが有効な可能性があり、特に下肢PhAは運動機能を多面的に反映する有効な評価部位であることが示唆された。
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に沿って,申請者の所属機関(承認番号:2402‐125)の承認を得て実施した.また研究対象者に口頭および書面にて説明し,書面にて同意を得た上で実施した.
筋機能の指標であるPhase angle(PhA)は、骨格筋量よりも鋭敏な指標とされており、運動機能との関連も示されている。先行研究では、全身PhAを指標としている報告が多いが、近年は、目的に応じた部位ごとのPhA評価の有効性が報告されている。糖尿病患者では下肢の筋萎縮など局所的に進行しやすいが、PhAの有効な測定部位を検討している報告はない。目的は2型糖尿病患者の全身と下肢のPhAおよび筋量と運動機能との関連を明らかにすることである。
【方法、あるいは症例】
対象は教育入院のために入院した独歩可能な2型糖尿病患者19名(女性10名)とした。測定項目は血液データなどの基本的な項目に加え、多周波生体電気インピーダンス法から得られる全身と下肢のPhAおよび筋量、運動機能としてShort Physical Performance Battery(SPPB)、Timed up and Go test(TUG)、立ち上がり時のパワー(F/w)、立ち上がり時のスピード(RFD/w)を測定した。筋量は体重で除して算出した。統計解析は、PhAおよび筋量と運動機能の関連を明らかにするため、各データに正規性の検定を実施し、正規分布に準じてpearsonまたはspearmanの相関係数を用いて検討した。各統計分析の有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者は、年齢71.0(54.5-74.8)歳、BMIは23.5(20.6-28.7)kg/m²、HbA1cは11.4±2.27、全身PhAは4.94 ± 0.83、下肢PhAは4.61 ± 1.01であった。相関分析の結果、有意な相関があった項目は、全身PhAはTUG(r=-0.589)、F/w(r=0.642)、下肢PhAはSPPB(r=0.460)、TUG(r=-0.639)、F/w(r=0.643)であった。また、全身および下肢筋量はF/wとのみ正の相関があった(全身r=0.489、下肢r=0.458)。
【結論】
本研究結果から、下肢PhAは全身および下肢筋量や全身PhAよりも各運動機能を鋭敏に反映する指標であることが考えられた。糖尿病患者では下肢の機能低下が局所的に進行しやすいため、糖尿病患者の筋機能評価は、筋量よりも筋質を反映するPhAが有効な可能性があり、特に下肢PhAは運動機能を多面的に反映する有効な評価部位であることが示唆された。
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に沿って,申請者の所属機関(承認番号:2402‐125)の承認を得て実施した.また研究対象者に口頭および書面にて説明し,書面にて同意を得た上で実施した.
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